敬老の日=えびの日!?えびに込めた長寿の願い

お刺身にするとなんとも言えない食感と甘みがあり、加熱すればプリプリの食感がたまらないえび。
日本では古くから縁起のよい食べ物だと考えられています。
実は、その縁起のよさにあやかって(?)、敬老の日と同日をえびの日として定めているのだとか。
今回はえびと日本の深い繋がりに迫ります!

【由緒正しい縁起物!?】

日本では縁起のよい食べ物にそれぞれ意味を持たせることが多いです。
例えば鯛なら、めで「たい」、黒豆は「マメに働き、マメに暮らせるように」などですね。
えびに込められた意味は、「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿の願いです。
えびは漢字で「海」の「老」と書いてえびと読ませるほど、老いとの関連が深い食べ物でした。
長いひげ(※正しくは触角のひとつで、哺乳類のひげとは役割が違います)と、曲がった背が老化をイメージさせたのですね。
人生100年時代と呼ばれる豊かな現代では、残りの寿命について強く意識する機会はあまりないかもしれません。
しかし、歴史をさかのぼってみれば、日本人の平均寿命は50年にも満たない時代の方がずっと長かったのです(近代化が始まった明治時代でも、平均寿命は50年未満だったとするデータもあります)。
医療もまた未発達で、事故や病気で亡くなる確率がずっと高かった時代では、切実に長寿を願うのも納得ですね。


【実は栄養価もすごい?】

そんな縁起物であるえび。
実は、老化の予防に働く栄養価を含む食べ物なのです!
まず、筋肉や皮膚など、体のあらゆる場所に必要なたんぱく質が豊富です。
たんぱく質の摂取量が減ると、筋肉量が足りずに体を支える力が弱まったり、肌のハリが失われる原因にもなるので、常に不足しないように摂りたい栄養素のひとつです。
ちなみに、現代ではロコモティブシンドロームという、筋肉の減少によって起こる疾患が高齢者に多いことから、予防のためにも、良質なたんぱく質をきちんととることが推奨されています。
そのほかに注目したい栄養素が、アスタキサンチンです。
老化の原因のひとつに、活性酸素という物質があります。
飲酒・喫煙などが大きな要因ですが、ストレスを感じることでも発生するとされ、日常生活を送っていれば少なからず生まれていると考えてよいでしょう。
アスタキサンチンはこの活性酸素の害から体を守る、抗酸化作用があるので、体の内外の老化を抑える効果が期待できるのです。
なお、アスタキサンチンはえびの色素由来の成分なので、えびの身よりも、殻やしっぽに多く含まれています
殻ごと食べられる小ぶりなえびは、まるごと召し上がってみてはいかがでしょう。
では、食べるのが難しい、かたい殻をもつえびは、アスタキサンチンが無駄になってしまうのか?と考えられるかもしれません。
実はアスタキサンチンは脂溶性なので、油脂に溶け出しやすい性質があります。
えびは殻つきで調理すると、きちんとアスタキサンチンが取れますよ☆
それにしても、長寿の象徴が老化予防の成分を含んでいたなんて、ちょっと運命的なエピソードになりそうですね☆

えびは世界中で食べられていますが、実は、そのなかでも日本は世界でトップの消費量を記録したこともあるぐらい、えびを好んで食べています。
縁起もよく、健康にもよいとあって、これからも日本人とえびのつながりは続いていくのでしょう。
次のえびの日には、ぜひ召し上がってみてくださいませ☆

Text byはむこ/食育インストラクター