秋はさまざまなものがおいしくなる季節ですが、その中でも、きれいなオレンジ色が目立つ柿は秋を代表する果物。
今回はそんな柿についてのお話です。
【柿の歴史】
柿の原産国については諸説ありますが、中国が原産で、日本には奈良時代に中国から伝わったという説が有力です。
当時の柿は渋柿だったため、干し柿や自然に渋が抜けるまで放置して熟柿(じゅくし)にしてから食べられていました。
また、甘柿は鎌倉時代に現在の神奈川県麻生区の王禅寺の山中で発見された禅寺丸柿が、日本最古の甘柿とされています。
そして、昭和初期には、農商務省によって日本各地で栽培している柿は約1000種類に分類されました。
【渋柿とは】
秋になるとスーパーに出回り始める柿には、大きく分けて甘柿と渋柿の2種類があります。
甘柿はそのまま食べられ、渋柿は加工して食べることが多いです。
甘柿と渋柿は、それぞれに含まれるタンニンという渋み成分の性質に違いがあります。
甘柿に含まれているタンニンは不溶性で唾液に溶けません。一方渋柿に含まれているタンニンは水溶性なので唾液に溶け、渋みを感じます。
渋柿から作られる干し柿が甘い理由は、渋柿を干すことでタンニンが水溶性から不溶性になり、渋みを感じなくなるからです。
また、干すことで水分が抜けて糖度が高くなります。
干し柿の甘みは甘柿の約4倍にもなります。
【柿に期待できる効能】
「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるように、柿は栄養価の高い果物として知られています。
まず注目すべき栄養素はビタミンCです。意外と思う方も多いかもしれませんが、ビタミンCの含有量は果物の中でもトップクラスです。
免疫力アップやコラーゲンの生成に働き、風邪・老化防止効果や美肌効果が期待できます。
次に注目すべきはタンニンです。
タンニンとはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があり、動脈硬化予防などの効果が期待できます。
アルコール分解作用もあるため、二日酔いにも有効です。
また、食物繊維やカリウムも多く、体内の有害物質の排泄を促進する働きもあります。
【食べ過ぎには注意】
おいしいものはついつい食べ過ぎてしまいがちですが、どんなものも過剰に摂取してしまうと危険があります。
柿はほかの果物に比べて、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には腸内環境を整える働きがありますが、摂り過ぎてしまうと便秘や下痢になる可能性があります。
食べ過ぎには十分注意しましょう。
【おいしい柿の選び方】
ヘタの形がきれいで、実に張りつくように4枚揃っていて、なるべく緑色が残っているものを選びましょう。
果皮はツヤがあり、色が均一で濃いオレンジ色であり、手に持ったときにずっしりと重みのあるものが良品です。
【熟し過ぎても捨てないで!】
柿をつい食べ損ねて日が経ってしまい、トロトロ状態になってしまった経験はありませんか?
甘みを強く感じられおいしいですが、カットするのがなかなか大変ですよね。
そんな問題を解決するのが、冷凍してから食べる方法です。
トロトロになってしまった柿をそのまま冷凍庫で凍らせるだけ!
あとは、食べる2時間ほど前に冷凍庫から常温に出しておき、半解凍状態になったらヘタを切り取り、4~8等分にカットすると、柿シャーベットの出来上がり♪
いかがでしたか?
栄養満点な柿は10月~11月に旬を迎えます。
おいしい秋の味覚を堪能しましょう。
Text by あお/食育インストラクター