春の七草の「すずな」は「かぶ」だということを知っていましたか?
かぶの形が鈴に似ていることからそうよばれるようになりました。
今回はその「かぶ」についてスポットをあててお話しします。
【古い歴史を持つ野菜「かぶ」】
日本では最も古い歴史をもつ野菜のひとつで、弥生時代には伝わっていたといわれ、記録的には「日本書記」に記されています。
多くの品種が存在し、現在では約80種類が生産されているといわれています。
【生産量トップ3 (2020年のデータ)】
1位 千葉県
2位 埼玉県
3位 青森県
【かぶの種類】
- 赤かぶ・・・皮が赤~赤紫をしたかぶ。サラダやお漬物にして食べられています。
- 小かぶ・・・直径5~8㎝の小さなかぶ。皮が白く丸い形。最も流通量が多く煮物やお漬物にして食べられています。
- 聖護院かぶ・・・関西地方で栽培されている大型の丸かぶ。京野菜のひとつ。千枚漬けやかぶら蒸しにして食べられています。
- 天王寺かぶ・・・江戸時代から栽培されているかぶ。なにわの伝統野菜。お漬物や煮物にして食べられています。
- 津田かぶ・・・島根県で栽培されている伝統野菜。浅漬けやピクルスにして食べられています。
【おいしいかぶの選び方】
- 葉の部分がピンとしている
- 根の部分が真っ白で黄ばんでない
- ひげ根があまりついていない
- ずっしりと重みがある
また、かぶの旬は春と秋の2回あり、春は3~5月ころ、冬は10~12月ころです。
春は肉質がやわらかいのが特徴で、冬は甘みのある味わいを楽しむことが出来るので、ぜひ参考にしてみて下さい。
【保存方法】
かぶを買ったまま常温で保存してしんなりしてしまったことはありませんか?
かぶは常温保存が向いていない野菜です。
冷蔵保存か冷凍保存をしましょう。
また、根と葉に分けることが重要なポイント。
葉をつけたままにしておくと、すぐにしなびてしまうので要注意です。
■冷蔵保存
根を保存するには、袋に入れて口を閉じ冷蔵庫で保存しましょう。
葉を保存するには、食べやすい大きさにカットして水で濡らしたペーパータオルで葉の全体を包んで、袋に入れて冷蔵庫に保存しましょう。
■冷凍保存
根はみずみずしさをキープしたまま長持ちさせたいのであれば、丸ごと冷凍がおすすめです。
よく洗って水気を取り、皮をむいて(皮は冷凍すると色が変わりやすいので、取り除いてからがおすすめです)ラップにひとつずつぴったりと包み、袋に入れて保存しましょう。
使い切れずあまってしまったかぶや、用途が決まっている場合は、皮をむき、カットしてから袋に平らになるように入れ、空気を抜いて袋の口を閉じ冷凍しましょう。
葉は軽く塩ゆでをして、食べやすい大きさにカットし、ラップに分けて冷凍保存しましょう。
【かぶの栄養】
●カリウム
カリウムとはミネラルのひとつで塩分や水分を体外に排出する働きがあるので、塩分の取り過ぎを調整したり、むくみ改善・高血圧予防に効果があります。
●アミラーゼ
消化を助けてくれるアミラーゼは消化酵素のひとつで、炭水化物のひとつであるデンプンの分解を行っています。
熱に弱いので、効果を期待するのであれば、短時間の加熱や生食がおすすめです。
●ビタミンC
コラーゲンの生成を補助する役割があります。
また、体の酸化を防いだり、疲労回復や風邪予防にも効果的です。
水に溶けやすい性質をもつ水溶性ビタミンなので、スープなどにして汁ごといただくのが理想的です。
●ビタミンA(βカロテン)
かぶの葉に豊富に含まれているβカロテンは強い抗酸化作用があり、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。
ビタミンAは目の働きを助け、夜盲症や視力低下の予防の働きがあります。
また、皮膚の新陳代謝を助けるので、皮膚や粘膜の健康状態を維持するのにも効果が見込めます。
【かぶを使った郷土料理】
●石川県の「かぶら寿司」
塩漬けにしたブリを塩漬けにしたかぶで挟み麹(甘酒)に漬けた「なれ寿司」の一種
お正月料理とされています。
●富山県の「かぶらのやっちゃら」
かぶ、人参、きゅうり、糸寒天やきくらげを食べやすい大きさに切ったものを酢に漬けて和え、仕上げに柚子を散らしたもの。
8種類の材料を使うことから「やっちゃら」と名付けられたといわれています。
仏事やお正月料理につくられ、各家庭や季節により材料はさまざまです。
かぶが日本で古い歴史を持つ野菜だとお分かりいただけたと思います。
ぜひ食べたときに思い出してくださいね。
また新しい発見があるかもしれません。
Text byあお/食育インストラクター