私たちにとって身近な貝のホタテ。
冷凍などで一年中流通があり、旬を意識しづらいかもしれませんが、冬が旬の食品です。
今回はそんなホタテについてのお話です。
【ホタテってどこでも獲れるの?】
ホタテは世界中で食べられているので、どんな海でも獲れるように感じるかもしれません。
しかし、ホタテは水温の高いところでは生きていけない貝なのです。
23℃以上の水温ではうまく育たないので、天然のホタテでは関東付近までが生息域で、国内で安定した養殖ができるのは東北地方北部や北海道になります。
都道府県別の漁獲量は北海道がダントツの1位で、全体量の70%ほどを占める年もあります。
ホタテの養殖に関して日本の技術は高く、2016年ごろには食品輸出のトップになった(!)こともあります。
日本の輸出品というと車や電子部品などのイメージが強いものですが、四方を海に囲まれているメリットを生かした海産物の生産も盛んです。
ホタテはその一角を担っている大切な存在なのですね。
食卓で楽しむだけではなく産業でも助けてくれているホタテ。
しかし、温暖化が進み、海水温が上がれば生産できなくなってしまうかも…!
個人でできることに限りはありますが、環境には気を使いたいですね☆
【ホタテと刺身?】
ホタテは刺身で食べてもおいしい貝です。
生の貝柱は乳白色でぷりぷりしていて、食べるとほんのり甘くておいしいですよね☆
しかし、よく思い出してみると、刺身で食べられるホタテは貝柱の部分のイメージが強くありませんか?
バター焼きなどで食べるホタテは、貝柱の周りにフリルのようなヒラヒラした部位(以下ではヒモと呼びます)がついていることの方が多いのに、刺身になると外してしまうのはなぜなのか?
いくつか理由がありますが、そのどれもがホタテをめぐる衛生管理に関係しています。
まず、ホタテのヒモの中には、貝毒の原因になる部位が含まれているから。
ヒモの部分には、黒いウロと呼ばれる部位があります(中腸線とも)。
この部位はホタテがプランクトンや海水からとった食中毒菌や有害物質を貯めておくところなので、うっかり食べてしまうと重篤な食中毒になる可能性があるのです。
そんな被害を避けるためにも、市販の刺身用のホタテは、そのほとんどがヒモの部分を外した状態で販売されているのですね。
もうひとつの理由が、ヒモの部分は傷みやすいから。
ホタテにとってヒモの部分は、鳥や豚・牛の「モツ」に相当します。
動物でもこれらの部位は傷みやすく、衛生管理を徹底されていますが、ホタテも同じで、ヒモから傷んでいくものです。
処理してからしばらく店頭に並べておく市販のお刺身には不向きな部位だといえます。
消費者目線で考えても、保存性の悪い生食食品は怖いですし、においが出ればおいしさも損なわれます。
ヒモの部分をつけないのは納得ですね。
ちなみに、活きホタテをその場で調理してくれる鮮魚料理店などでは、ヒモの刺身を扱っていることがあります。
プロの料理人がきちんと処理をした、新鮮そのもののヒモのお刺身。
自宅ではなかなか食べられないものなので、見かけたらぜひ、食べてみたい逸品ですね☆
ホタテは高たんぱく・低脂肪で、糖質の代謝を助けるビタミンB1も多く、ごはんと一緒に食べると疲労回復を早めてくれる効果が期待できる食品です。
うま味の増した旬のホタテは、シンプルにバターじょうゆで焼き上げただけでもおいしいので、冬の間のごはんのおかずにいかがでしょう?
Text byはむこ/食育インストラクター