身近な食材である「卵」。
和洋中どんな料理とも相性がよいので、毎日の食事に卵を活用している人も多と思います。
今回は、卵の栄養や特性についてご紹介します。
【卵は「完全栄養食品」!?】
江戸時代ごろから食べられはじめ、今では1人あたりの消費量が年間約340個と日本人に愛されている卵。
おいしいのはもちろん、栄養面でも優れている、とても嬉しい食品です。
卵は、人間の体では作れない「必須アミノ酸」をすべて含んでいます。
そのほか、肌や髪の健康を保つレチノール、脂質やたんぱく質の代謝を助けるビタミンB2も豊富です。
さらに、骨や歯を丈夫にするビタミンDやカルシウム、貧血を予防する鉄などさまざまなビタミンやミネラルも含まれるため「完全栄養食品」ともいわれています。
ただ、ビタミンCや食物繊維は含まれていないので、フルーツや野菜も一緒に食べましょう。
そして、日持ちするのも嬉しいところ。
パックに表示されている賞味期限は、「安心して生食できる」期限です。
したがって期限が過ぎたからといって、食べられないというわけではありません。
しっかり加熱しておいしくいただきましょう。
また、よりよい状態で保存するには、冷蔵庫のドアポケットではなく、パックごと庫内にしまうのがベスト。
パックごとしまえば、振動で殻にヒビが入るのを防げるだけでなく、ほかの食材のにおいがつくのも防いでくれます。
【知っておきたい!「卵」の特性】
■熱凝固性
卵に多く含まれているたんぱく質は、熱を加えるとかたまるという性質を持っています。
ゆで卵や卵焼き、茶碗蒸し、プリンなどが、この熱凝固性の特性をいかした料理です。
卵の凝固温度は卵白と卵黄で異なり、卵白は58℃からかたまりはじめ、80℃で完全にかたまります。
これに対し、卵黄は65℃でかたまりはじめ、70℃で完全にかたまります。
この凝固する温度差をうまく利用した食べ物が「温泉卵」です。
■泡立性
泡立性には、たんぱく質が作り出す「起泡性(泡立ちのよさ)」、「安定性(泡の消えにくさ)」、「均一性(泡の均一さ)」という3つの特徴があります。
これは卵白独自のもので、お菓子作りでよく登場する「メレンゲ」はこの泡立性の特性をいかしたものです。
■乳化性
本来混ざり合わない水と油という反発する2つの性質をくっつける卵黄の性質のことです。
この特性をいかしたものの代表が、「マヨネーズ」です。
マヨネーズの材料は、本来混ざり合うことのない「酢(水)」と「油」。
ここに卵黄を加えることで、水と油がうまくくっつき、乳化します。
アイスクリームやドレッシングなどもこの乳化性を利用して作られています。
【エッグベネディクト】
エッグベネディクトは、「熱凝固性」、「乳化性」と卵の特性をいかした料理です。
かんたんに作れるので、ブランチにいかがですか。
<材料(1人分)> 調理時間:30分
卵・・2個
イングリッシュマフィン・・1~2個
ベーコン・・2枚
【オランデーズソース】
卵黄・・1個分
酢・・小さじ2
塩・こしょう・・少々
バター・・40g
<作り方>
- オランデーズソースを作る。
バターは耐熱容器に入れて電子レンジにかけ、溶かしバターを作る。 - ボウルに卵黄を入れて泡立て器でほぐし、酢・塩・胡椒を入れて混ぜる。
湯せんにかけながら泡立て器でよく混ぜ、卵黄の色が変わってきたらバターを少しずつ加える。 - ポーチドエッグを作る。
鍋に湯を沸かし、弱火にする。卵は1個ずつザルやかすとり網にのせてさらさらした卵白を取り除き、1つずつボウルなどに移す。 - 鍋の中に卵を1個ずつ入れて約3分加熱し、冷水に取り、ペーパータオルで水気を拭き取る。もう1つも同様に作る。
- イングリッシュマフィンは半分に割り、フライパンで焼き色をつける。ベーコンは長いものは半分に切り、フライパンでカリッと焼く。
- イングリッシュマフィンの上にベーコン・ポーチドエッグの順にのせ、オランデーズソースをたっぷりかける。
お好みで黒こしょうをふっていただく。
卵の特性をいかした、さまざまな卵料理が世界中にあります。
今回は1品しかご紹介できませんでしたが、時間のあるときはいつもと違う卵料理にチャレンジするのも面白いですね。
Text byまち/食育インストラクター