世界中で食されている「さやいんげん」。
いんげん豆の若いさやが「さやいんげん」だということをご存じですか?
ちなみに、いんげん豆の完熟した豆は、煮豆や甘納豆、あんこなどでいただきます。
さやいんげんの旬は夏ですが、一年に三度収穫できることから「三度豆」とも呼ばれています。
今回は「さやいんげん」の魅力に迫ります。
【歴史は?】
諸説ありますが、原産は中南米だと言われています。
日本には江戸時代に中国から隠元(いんげん)禅師が持ち込んだとされ、その名にちなんで「いんげん」と呼ばれるようになったようです。
現在栽培されている「さやいんげん」は、明治時代に勧業政策によって欧米から導入され、その当時のものがもとになっています。
その後、さまざまな品種改良や栽培方法が行われ、一年中流通するようになりました。
【種類は?】
つるがあるかないか、さやの長さや形などでさまざまに分類され、数百種類あると言われています。
一般的に流通しているのは丸さやで長さ20cmほどの「どじょういんげん」です。
平さやで長さが20cmほどの「モロッコいんげん」も最近では店頭で見かけるようになりました。
丸さやのいんげんと比べて甘味があり、シャキシャキとした食感が楽しめますよ。
お子さんでも食べやすいかもしれませんね。
【さやいんげんの栄養は?】
約90%以上が水分で、低カロリーな緑黄色野菜です。
野菜と豆の両方の特性をあわせ持ち、野菜の中では比較的たんぱく質を多く含んでいます。
また、抗酸化作用のあるβ‐カロテン、ビタミンCをはじめ、エネルギー代謝を助けるビタミンB群やむくみを予防するカリウムなど多種多様の栄養素がバランスよく含まれています。
人間の体内で合成できないと言われている必須アミノ酸は全部で9種類あり、さやいんげんはその9種類すべてを含んでいます。
特に、必須アミノ酸であるリジンを多く含み、たんぱく質の吸収を助けて新陳代謝を活発するほか、肝機能を強化したり、髪の健康を保つ効果が期待できます。
【選び方のポイント!】
鮮やかな濃い緑色で、つやのあるものが良品です。
細くてハリがあり、しわのないもの、ピンとのびているものを選びましょう。
中の豆がはっきり浮き出ていないものがよいでしょう。
【保存の仕方】
乾燥するとしなびてしまうので、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
収穫後時間が経つと風味が損なわれるので、早めにいただきましょう。
【調理での注意点は?】
最近、スジなしの品種も増えてきましたが、基本的にはスジをとってから下ゆでします。
さやに爪を立てて跡が残れば、ゆで上がりのサイン。
塩を加えてゆで、素早く冷水にとって冷ますとより色よく仕上がります。
ゆですぎると、食感が損なわれるだけでなく、風味や色も悪くなり、水っぽくなってしまうので注意しましょう。
和え物やサラダ、炒め物、天ぷらなどさまざまな料理で活躍するさやいんげん。
選ぶポイントをおさえておいしくお召し上がりください。
Text by くまこ/食育インストラクター