食卓を彩る便利な食材、「ハム」について知ろう!

加熱せずにそのまま食べられるハムは、サンドイッチやサラダをはじめ、料理の彩りとしても大活躍しています。
普段何気なく食べている「ハム」にはどんな種類があり、どのように作られているのかご存知ですか?

【ハムの歴史】

ハム(ham)は英語で豚のもも肉を意味し、日本では豚もも肉を加工したものを称しています。
その昔、まだ狩猟が盛んだった時代に、塩漬けにすることで獲物を長期保存できることを古代の人たちが知ったのが、ハムのはじまりです。
日本への伝来時期は諸説ありますが、明治元年(1868年)、長崎で中国人やオランダ人などからハムの作り方を教わり、製造がはじまったと言われています。
その後、大正10年(1921年)にドイツ人のアウグスト・ローマイヤが日本ではじめてロースハムを作りました
昭和30~40年ごろになると、これまで高級品であったハムが食卓にのぼるようになり、学校給食にも取り入れられるようになりました。

【ハムはどうやって作られているの?】

①豚肉の余分な脂などを取り除き、形を整える

②食塩や香辛料、発色剤などを溶かした調味液につけ込み熟成させる(塩せき)

③ハム用の袋(ケーシング)に詰めたり、綿糸で巻いたりして形を整える

④蒸気で中心部までしっかり加熱し、殺菌する

⑤急速冷却する


【ハムの種類】

ハムは豚肉の部位や加工方法によって、種類が異なります。
今回は一般的なハムの種類をご紹介します。

■ロースハム
豚ロース肉の塊を加工したもの。
きめが細かく、やわらかい食感が特徴。

■ボンレスハム
豚もも肉の塊を加工したもの。
脂肪が少なく、あっさりとした味わいが特徴。

■ショルダーハム
豚肩肉の塊を加工したもの。
脂肪が比較的少なく、肉の味が濃いのが特徴。

■生ハム
豚もも肉の塊を塩漬けにしたあと、低い温度でじっくり乾燥・熟成させたもの。

【ハムの保存方法】

開封したハムは、空気に触れないよう1枚ずつラップにぴったり包み、保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存してください。
それでも賞味期限に限らず、早めに食べきるようにしましょう。
少し風味は落ちてしまいますが、冷凍庫で保存することも可能です。
使うときは冷蔵庫でゆっくり自然解凍すると、水分の流出が抑えられ、うま味がキープできます。

【世界三大生ハムとは?】

■プロシュート・ディ・パルマ(イタリア)
「プロシュート」は、イタリア産のスモークしていないハムのことです。
そのうち、イタリア・パルマの限られた地域のみで生産される生ハムが「プロシュート・ディ・パルマ」と呼ばれています。
最小限の塩で熟成することで、まろやかでやわらく、甘みと深みのある味わいに仕上がります。

■ハモン・セラーノ(スペイン)
スペイン語で「山のハム」を意味する、イベリコ種以外の白豚を使って作られるスペイン産の生ハムです。
特有の香りやうま味、コクがあり、しっかりとした塩気と歯ごたえが特徴です。

■金華ハム(中国)
中国・浙江省の金華地方で「金華豚」を用いて作られる生ハム
です。
かための肉質と強い塩気が特徴で、普通の生ハムのようにそのまま食べることはほとんどなく、スープや煮込み料理のほか、炒め物の具材として使われます。

スーパーで売られていることはほとんどありませんが、料理店などのメニューで見かけたら、ぜひ味わってみてくださいね。

【ハムの日、生ハムの日】

8月6日は「8(ハ)・6(ム)」の語呂合わせで、日本ハム・ソーセージ工業協同組合によって「ハムの日」と制定されました。
ハムのおいしさや安全性を広めることを目的とし、この時期になるとハムにちなんだPRが実施されています。
少し先の話になりますが、11月11日は「生ハムの日」です。これは、キリスト教の祝日「サン・マルティン(聖マルティヌス)の日」であり、毎年この時期に生ハムが仕込まれることから、日本生ハム協会が制定しました。

なじみ深いハムについて知ることで、よりおいしく、楽しく食事ができますね。
いつも同じハムを食べている方も、これを機にいろいろなハムにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Text by まち/食育インストラクター