ツルツル、シャキシャキとした食感が魅力の「もずく」。
食欲が落ちやすい夏場になると、よく食卓に登場する食材のひとつです。
そんなことから夏の食材と思われている人もいるかも知れませんが、生のもずくは春から初夏にかけて旬をむかえます。
今回は、酢の物はもちろん、天ぷらやみそ汁にしてもおいしい、もずくの話です。
【そのほとんどが沖縄県産。今が旬のもずく】
もずくは、モズク科またはナガマツモ科に属する褐色の藻類です。
ほかの海藻「藻(も)」について生息することから、「藻につく」という意味で「もずく」と呼ばれるようになりました。
また、沖縄県では、古くからもずくを三杯酢で食べていたことから、「酢のり(=スヌイ)」とも呼ばれているそうです。
4~6月に旬を迎えるもずくは、90%以上が沖縄県で生産されており、そのほとんどが養殖で、天然のものはあまり出回っていません。
【もずくの種類とその特徴】
もずくは大きく分けて3種類に分けられます。
①細もずく
「糸もずく」とも呼ばれ、モズク科に属します。
古くから食用にされてきましたが、現在は環境の変化により、採取量が少なくなってきています。
1本1本がとても細くてやわらかく、その細い繊維の表面にぬめりがあり、ツルっとしたなめらかな口あたりが特徴です。
②太もずく
ナガマツモ科に属し、一般では「オキナワモズク」とも呼ばれ、沖縄沿岸に分布しています。
一番流通しているのがこの太もずくで、太めでシャキッとした歯ごたえが特徴です。
③岩もずく(石もずく)
ナガマツモ科に属し、日本海沿岸に分布しています。
岩に張りついて生育することからこの名がついたと言われている岩もずくは、ぬめりが少なく、その歯ごたえと口に入れたときの磯の香りが特徴です。
【もずくの塩抜き方法】
もずくは、生もずくのほか、「塩漬けのもずく」が売られています。
塩漬けのもずくは塩を加えることで長期保存が可能ですが、調理前に塩抜きをする必要があります。
まず、ザルなどにもずくを入れて流水でもみ洗いをし、表面の塩分を洗い流します。
次に、ボウルにたっぷりの水を入れ、5~10分ほどつけておきます。
少し味見をし、ほどよい塩気になったら水で再度洗い、水気を切って塩抜きは終了です。
食べきらないときは、小分けにしてラップで包み、冷凍庫で保存することも可能です。
【酢と合わせて吸収アップ!もずくの栄養と効能】
低エネルギー食材として知られているもずくは、ビタミン、ミネラル、食物繊維などをバランスよく含んでいます。
なかでも特徴的なのが、水溶性食物繊維の一種である「フコイダン」です。
フコイダンは、もずくや昆布、わかめなどのぬめりのある海藻類に含まれていますが、特にもずくに多く、ほかの海藻に比べ5~8倍であると言われています。
免疫力アップや、胃の粘膜を保護して胃を活発にし、がんや動脈硬化、高血圧の予防に効果が期待できます。
さらに、もずく酢のように酢と一緒に摂取すると、もずくの繊維がやわらかくなり、栄養の吸収が促進されます。
【見た目は似ているけど違う!?「めかぶ」】
同じような見た目から一度は疑問に思ったことがあるかも知れない、「もずく」と「めかぶ」の違い。
皆さんはその違いをご存知ですか?
めかぶは、もずくと同じく海藻ですが、めかぶという海藻があるわけではなく、わかめの根元近くの部分のことを指します。
コリコリとした食感が特徴で、細切りにしてサッと湯通しし、もずくと同様酢の物にしたり、サラダなどでよく使われています。同じ海藻類なので栄養面は、もずくとそれほど変わりありません。
もずく酢だけでなく、天ぷらやスープなど、加熱調理する料理とも相性抜群のもずく。
沖縄県もずく養殖業振興協議会では、生産が一番多く、旬をむかえる毎年4月の第3日曜日を「もずくの日」と制定しています。
今が旬のもずくを、さまざまな料理でおいしくいただきましょう。
Text byまち/食育インストラクター