私たちの食生活に欠かせない「しょうゆ」。
料理によって使い分けると料理のレパートリーも広がります。
今回はしょうゆの種類や調理効果などについてのお話です。
【しょうゆはどのように造られるの?】
現在、日本で生産されているしょうゆの約8割は「本醸造方式」で造られています。
蒸した大豆と炒って細かく砕いた小麦を混合し、種麹(たねこうじ)を加えて「しょうゆ麹」を造ります。
これを食塩水と混ぜて「諸味(もろみ)」を仕込み、撹拌を重ねながら約6~8カ月ねかせると、麹菌や酵母・乳酸菌などが働いて分解・発酵が進み、さらに熟成されてしょう油特有の色・味・香りが生まれます。
これを圧搾、火入れ、ろ過をすることでしょうゆが造られています。
このほか「混合醸造方式」、「混合方式」で造られるしょうゆもあります。
【しょうゆの種類】
しょうゆの種類は、日本農林規格(JAS)によって、「濃口しょうゆ」「「淡口しょうゆ」「たまりしょうゆ」「再仕込みしょうゆ」「白しょうゆ」の5つに分類されます。
■濃口しょうゆ
江戸時代に関東地方で生まれた鮮やかな色が特徴のしょうゆです。
日本で製造されているしょうゆの約8割がこの濃口しょうゆになります。
最も一般的で、調理から卓上での味付け用まで幅広く使えます。
■淡口しょうゆ
兵庫県で生産が始まった関西生まれのしょうゆです。
濃口しょうゆと原材料や製法はほとんど一緒ですが、色を薄く仕上げるため、発酵と熟成をゆるやかにさせる塩分を多くして作られています。
色が淡く、香りも控えめなので、素材の色や香りをいかしたい料理によく用いられます。
■たまりしょうゆ
愛知県を中心に、三重県、岐阜県などの東海地方で製造され、よく使われているしょうゆです。
濃口や淡口が大豆と小麦を原料とするのに対し、主原料は大豆で、小麦は使うとしてもほんのわずかです。
独特な香りととろみ、濃厚なうま味が特徴で、照り焼き、佃煮などに最適です。
また、刺身や寿司を食べる際にも用いられています。
■再仕込みしょうゆ
山口県柳井市周辺で生まれたしょうゆです。
しょうゆを仕込む際に食塩水の代わりに「生揚げしょうゆ(火入れ前のしょうゆ)」を使っているため、この名前がつきました。
色、味、香りともに濃厚なので、「甘露しょうゆ」とも呼ばれています。
主に卓上用の調味料として、刺身や冷やっこなどによく使われています。
■白しょうゆ
愛知県碧南(へきなん)市で誕生したしょうゆで、淡口よりもさらに淡い琥珀色のしょうゆです。
同じ愛知県で作られるたまりしょうゆとは反対に主原料は小麦粉で大豆はほとんど使われていません。
味は淡白ですが、塩味と甘味は強く、特有の香りを持っています。
吸い物や茶わん蒸しなどによく使われています。
白しょうゆに出汁やみりん、塩などを加えたものが「白だし」です。
【しょうゆの調理効果】
●消臭効果
しょうゆには、肉や魚の生臭いにおいを消す効果があります。
これは、臭みの原因物質をしょうゆが中和してくれるからです。
日本料理の下ごしらえ「しょうゆ洗い」はこの効果を利用したものです。
●加熱効果
しょうゆは加熱されると、食欲をそそる香ばしさと照りが生まれます。
これは、しょうゆに含まれるアミノ酸とみりんや砂糖などの糖分がメイラード反応を起こすからです。
この効果を利用したものの代表が、照り焼きです。
●対比効果
しょうゆには食材や料理のもつ、甘みを引き立たせる効果(対比効果)があります。
煮豆など、甘い煮物の仕上げにしょうゆを少し加えるのは、これの効果を利用しているからです。
●抑制効果
漬物や塩鮭など、塩辛いものにしょうゆを少したらすと塩辛さを抑えることができます。
これは、しょうゆの中に含まれるうま味と有機酸類に塩味を和らげる働きがあるためです。
日本の伝統的な調味料である「しょうゆ」をより理解してもらうために、昔からしょうゆ醸造に関係の深い10月の1日を「醤油の日」としました。
普段何気なく使っているしょうゆ。
現在ではスーパーなどにもさまざまな種類が売られています。
料理ごとに使い分け、レパートリーを増やしましょう。
Text by まち/食育インストラクター