将来、肥満や生活習慣病にならずに健康に育つためには、生まれてから5歳ころまでの乳幼児期が特に重要です!
人間の食行動は、非常に発達した脳機能の影響を受けるため、脳の発達が著しい乳幼児期に何を食べさせてどのような環境で育てるかが、その後の人生にとって重要な意味を持つと言われているのです。
【新生児期】
☆母乳で育てる
母乳は栄養価が高く、消化吸収に優れ、免疫物質まで含まれるため、赤ちゃんにとっては理想的な栄養です。
また、母乳のメリットとして、赤ちゃんの重症細菌感染症、アレルギー疾患、乳幼児突然死症候群を減らし、赤ちゃんの知能発達を促します。
さらに赤ちゃんを母乳で育てることで、肥満になりにくいという調査結果がさまざまな国の研究機関から報告されています。
岡山大学の研究では、生後6~7か月まで母乳だけで育てた場合と粉ミルクのみで育てた場合を比較すると、7歳の時点で肥満になるリスクが低いとする研究結果が発表されています。
厚生労働省の資料では、小児肥満の約70%が成人肥満に移行すると考えられるため、母乳で育てることは、将来肥満を防ぐ可能性が期待できるかもしれませんね。
お母さんにとってもメリットがあります。
授乳によってオキシトシンが子宮の収縮を早め、産後の回復が順調に進み、閉経前の乳がん、卵巣がん、子宮体がんを防ぐ可能性が高くなると言われています。
母乳は、費用もかからず経済的で災害時にも助かりますね。
赤ちゃんは母乳を通して栄養分を吸収することになるので、栄養バランスのよい食事をお母さん自身が心がける必要があります。
【離乳期】
☆甘い飲み物を与えすぎない
昔は離乳食が始まる前に、果汁を与えることが勧められていました。
現在は、果汁を与えた分だけ母乳や粉ミルクを飲む量が減ってしまうことや、果汁の甘みに対する嗜好性が強まり、太りやすくするなどの理由から、果汁を与えることは勧められていません。
また、甘い飲料を水代わりに与えることも肥満の要因になります。
☆和風だしを使った味付け
食物の嗜好性には、乳幼児期に日常与えられた食品を、成長した後も好んで食べるようになる「刷り込み現象」があることがわかっています。
よって、離乳食のうちから和風だしを使うことはとても大切です。
出汁に含まれるアミノ酸の組み合わせは、生まれ育った国の食文化によって異なります。
例えば、日本では昆布と鰹で出汁を引きますが、西洋料理ではフォンやブイヨンなどトマト・きのこ・野菜・肉汁などから旨味を抽出します。
和食はユネスコの無形文化遺産に登録され、世界でも類を見ない低脂肪の健康食です。
この和食の肝である和風だしを、離乳食のうちから使いたいものです。
【幼児期】
☆早寝・早起き・朝食をとる
睡眠不足は成長ホルモンなどの分泌を妨げるため、肥満になりやすくなります。
また、朝食を摂ることは、体だけでなく、脳へもエネルギー補給されるため、勉強が能率アップします。
また、野菜をきちんと食べ、塩分や脂肪の摂りすぎに注意しましょう。
☆外で体を動かし、元気に遊ぶ
幼児期に外で体を動かすことは、生涯にわたる健康を作るための基礎となります。
食を取り巻く環境が大きく変化した中、今こそ子どもたちが健康的に成長するために、「食育」に対して高い意識を持って取り組みたいですね。
今からでも遅くありません。
今一度、生活のリズム・食習慣や運動習慣を見直しましょう!
Text by くまこ/食育インストラクター