妊娠前は楽しいマタニティライフを想像する方も多いと思います。
実際は目まぐるしい体調の変化にびっくりすることも多いです。
我が子を待つ楽しみと、体調面の不安は表裏一体。
これはお腹の赤ちゃんをしっかりと育てるための、母親としての第一歩です。
今回は妊娠期のむくみに役立つカリウムについてご紹介しましょう。
【むくみとは】
むくみは妊娠期に限らず起こる現象のひとつで、血液循環が低下することで起こります。
人間の体は60%前後が水分で出来ていて、その多くは血液中と細胞内に存在しています。
血液中の水分が血管の外に染み出て吸収されないと、細胞の間に水分が増え、いわゆる「体がむくんでいる」状態になります。
運動不足や塩分、水分の摂り過ぎが引き金となり、「リンパの流れが滞る」・「体の水分調整に関わるナトリウムとカリウムのバランスが崩れる」ことで起こるほか、甲状腺や心臓、腎臓の疾患、女性の場合は生理にともなうホルモンの乱れも原因となります。
【多くの妊婦がむくみを経験】
妊娠中は8割近くの人がむくみを経験し、特にお腹が大きくなる妊娠後期に症状を自覚する方が多くなります。
また、翌日までむくみが引かないなどの症状がある場合は「妊娠高血圧症候群」といった病気の予兆の可能性もあるので、気になるときは早めに医師に相談しましょう。
【むくみ改善ポイント】
むくみを改善するにはいくつかのポイントがあります。
1. 規則正しい生活
むくみに限らず、便秘やそのほかの気になる症状も生活スタイルを見直すことで改善される場合があります。
2. 塩分
塩分の摂り過ぎは、血中成分のバランスが乱れむくみにつながります。
しっかりとした味は満足度が高いのでついつい塩加減が濃くなりがちですが、出汁のうま味や酸味をきかせることで、薄味でもおいしいと感じられるようになります。
また、カリウムを摂ることで、余分なナトリウムの排泄を促します。
3. 水分
水分補給は「排尿」を促すので、摂り過ぎたナトリウムの排出に効果的です。
ただし、過度な摂取は逆にむくみの原因となるので、飲みすぎには気をつけて。
一度にまとめず、こまめに少しずつ飲むようにすると、体への負担が少ないです。
お腹や体を冷やさないためにも白湯や、常温のお茶などがおススメです。
4. 適度な運動
妊娠中は動くのがおっくうになりがちです。
過度な運動は母体や胎児に負担がかかるのでよくありませんが、散歩などを日課にして適度に体を動かすことは、「血液循環がよくなる」・「出産に向けた体力作り」・「食事をおいしく感じられる」・「睡眠の質が上がる」など、体によい影響を与えます。
※医師による運動規制がある場合は、相談のうえ指示に従ってください。
【カリウムを多く含む食材】
カリウムは摂り過ぎたナトリウムの排出に役立ち、むくみを改善したり、血圧を安定させます。
また、筋肉の働きをコントロールしてくれる作用もあります。
以下にカリウムを多く含む食材をまとめました。
〇穀類・穀製品
玄米・大麦(押し麦など)・オートミール(えんばく)・ライ麦・雑穀など
〇いも類・芋製品
さつま芋・里芋・山芋・じゃが芋など
〇豆類・豆製品
あずき・いんげん豆・大豆製品(納豆など)・ささげ・など
〇種実類・種実製品
アーモンド・栗・くるみ・ごま・ピスタチオ・落花生・マカダミアナッツなど
〇野菜類
あしたば・豆苗・えだまめ・おかひじき・かぼちゃ・カリフラワー・かんぴょう(乾)・ごぼう・小松菜・しし唐・春菊・そらまめ・タア菜・筍・菜の花・にら・人参・ブロッコリー・ほうれん草・モロヘイヤなど
〇果物
アボカド・干しいちじく・干し柿・キウイフルーツ・バナナ・レーズン・メロンなど
〇きのこ類
えのきたけ・キクラゲ・しめじ・なめこ・マッシュルームなど
〇海藻類
昆布・てんぐさ(寒天・ところてんなど)・ひじき・わかめ・めかぶなど
〇魚介類
あじ・いわし・しらす・かつお・鮭・さば・さわら・たい・ブリ・ホタテ貝・えび・いかなど
〇肉類
牛もも肉・牛ヒレ・牛ランプ・豚もも肉・豚ロース肉・豚ヒレ肉など
カリウムはさまざまな食材に含まれているので不足することはほとんど無く、尿と一緒に排出されてしまうので、通常の食事での過剰摂取はありません。
カリウムはゆでると、お湯に溶け出てしまいますので加熱する場合は、ゆでるより蒸す方が効率よく摂取出来ます。
単一の食材ばかり摂ると、そのほかの栄養素が偏ってしまうこともあるので、バランスよく料理に取り入れましょう。
また、種実類・豆類・果物・肉類などは糖分やエネルギー、脂質が高い物も多いので、摂り過ぎには気をつけて。
規則正しい生活、食生活を心がけ、心身ともに健康的に過ごして下さいね!
Text by さゆり/食育インストラクター