こどもごはんを考える~組み合わせで効率よく栄養を摂る方法⑨ビタミンB12~

子どもの「食事は栄養たっぷり!バランスよく!」と考える方が多いと思います。
栄養素は加熱に強い・弱いや、水に溶け出るもの、油脂に溶け出るものなどさまざまです。
それぞれの特徴を知ることで効率よく栄養を摂ることが出来ます。
今回は造血作用や神経細胞の働きを正常に保つ水溶性のビタミンB12についてご紹介します。

【水溶性ビタミンとは】

水溶性ビタミンはビタミンB群(B1・B2・B6・B12・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ビオチン)・ビタミンCです。
その名の通り、水に溶けやすい性質を持っています。
脂溶性ビタミンのように体内にとどまることはなく、摂取し過ぎた場合は尿と共に体外へ排出されます。
過剰摂取による人体への影響はあまりないとされていますが、サプリメントなどを用いられている方は食事とのバランスも考えながら摂っていきましょう。

【ビタミンB12】

ビタミンB12の主な働きは、赤血球が作られる際に必要なヘモグロビンの合成を助ける補酵素としての役割です。
ビタミンB12は神経細胞内のたんぱく質や核酸の合成にもかかわっています。
食品中のビタミンB12はたんぱく質とくっついているため、植物性の食品中には存在せず、野菜や果物から摂ることが出来ません。
理由は分かっていませんが、例外的に海苔や青のりには多く含まれます。
効能は「造血作用」「神経細胞の正常化」・「脂質の代謝」などです。
ビタミンB12は水溶性ビタミンの中で、唯一体内蓄積が認められるビタミンですが、体内でのたんぱく質と結合出来る量が決まっているため、過剰症はほぼ起こらないとされています。
欠乏すると正常な赤血球が作られないために起こる「悪性貧血」や、神経細胞の働きが悪くなり、「うつ状態」や「神経障害」を発症することもあります。
厳格な菜食主義の方や胃等の消化管切除手術を受けた方は不足する可能性があるので、サプリメントなどで補う方法も検討するといいかもしれません。
※サプリメントを積極的に摂ることを推奨しているわけではありません。
あくまでも食品からの摂取が望ましいですが、困難な場合は医師等に相談し、自身の生活スタイルに合った栄養の摂り方をしてみましょう。

多く含む食品はシジミやアサリ・カキ・サンマ・レバー・海苔などです。
光に弱く、酸化しやすいので食材を購入したら早めに使い、使いきれないものは密閉したり、空気に触れない様に包んで保存しましょう。


【相性の良い組み合わせ】

下記に組み合わせると効果的な食材をまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

☆アサリ×カブ
アサリはビタミンB12・鉄に加え、疲労回復に役立つタウリンも多く含みます。
カブは葉が緑黄色野菜、根が淡色野菜に分けられる野菜です。
葉は風邪予防に効果的なβ-カロテン・鉄の吸収を促進するビタミンCや、カルシウム・食物繊維が豊富です。
根はアミラーゼという消化を助ける酵素を含み、整腸効果も期待出来ます。
カブの根とアサリを一緒に煮、そのスープとカブの根をミキサーにかけ、とろみのついたスープ仕立てにすると、液体中に溶け出たビタミンB12などを効率よく摂ることが出来ます
カブの葉はゆでて刻み、一緒に食べたり混ぜご飯の具にするといいですよ。

☆カキ×ほうれん草
カキは海のミルクといわれるほど、栄養価の高い食材です。
ビタミンB12のほか、造血に必要な鉄分や銅といったミネラルも豊富。
ほうれん草も鉄分を含み、免疫力UPに役立つβ-カロテンや、鉄の吸収を促進するビタミンCも含みます。
バターソテーにしたり、グラタンやシチューにすると、カキの臭みも軽減出来ます。

☆サンマ×柑橘
サンマは記憶力を維持したり、高血圧や心筋梗塞を予防してくれるDHA・EPAがたっぷりと含まれています。
ビタミンB12の含有量も多く、貧血になりにくい血液作りに役立ちます。
柑橘に含まれるビタミンCは鉄の吸収を高めるので、合わせて摂るのがおススメです。
柑橘の汁を絞って焼きサンマやサンマのマリネなどを作ってみてはいかがでしょうか。

☆レバー×サラダ
モソモソしたり、独特の味や香りがあるので、苦手な方も多いレバー。
ゆでたり煮たりするとモソモソ感が強くなります。
生姜じょうゆなどで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げ焼きにし、たっぷりのサラダ野菜と合わせるとビタミン類が豊富に摂れます
レバーは油との相性がよいので、今回のような調理法がおススメ。
モソモソ感が薄れ、食べやすくなります。
ビタミンB12のほか、レバー自体に鉄が含まれるので、生の野菜でビタミンCなどを補いましょう。
ドレッシングに柑橘を使うと◎!

食材はひとつの栄養素から成り立っているのではなく、さまざまな物質が含まれています。
今回は、その中でもビタミンB12含有量が多い食品をピックアップしてみました。
栄養はいつも決まった食材から摂るよりも、幅広い種類から取ると自然とバランスもよくなります。
いろいろな要因で食べられないものもあるかと思いますが、好き嫌いや見た目が苦手といった場合は、調理を工夫してみましょう。
(アレルギーで食べられない場合は医師に相談の上、食材を選んでくださいね。)

Text by さゆり/食育インストラクター