子どもの健やかな成長のためには、十分な栄養を摂ることがとても大切です。
そこで「子どもの成長を助ける栄養素」では、成長に必要な栄養と食材についてシリーズでご紹介していきます!
今回のテーマは「エネルギー源となる糖質・脂質」です。
【糖質とは】
たんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつで、体・脳・神経組織を動かすエネルギー源。
消化・吸収されやすく、素早くエネルギーになります。
ちなみに炭水化物とは糖質と食物繊維を合わせたものを指しています。
糖質には多くの種類がありますが、砂糖や果物に多く含まれる甘みをもたらす糖類と、ご飯やパンなどの穀類、いも類、でんぷん類などがあります。
ほとんどの糖質は消化・吸収された後、ブドウ糖に分解され血液を通して体中の細胞に運ばれ、エネルギーとして使われます。
また、ブドウ糖は脳の神経組織にとって、重要なエネルギー源になるため、成長期の子どもには欠かせません!!
【不足すると…】
脳や神経に栄養が行き届かなくなり、頭がボーっとして集中力が低下します。
また、筋肉量が落ちるだけでなく、病気に対する抵抗力が弱まり、疲れやすくなります。
【摂りすぎると…】
体脂肪に変わり、肥満の原因になります。
特に砂糖や果物に多く含まれる果糖は食べ過ぎてしまう傾向があり、あまった糖が脂肪に変わるため注意しましょう。
【効率のよい食べ方は?】
効率よくエネルギーに変換するためにはビタミンB1が必要です。
ビタミンB1は穀物の外皮や胚芽に多く含まれているので、精製度の低い穀物を食べることで補えますよ♪
そのほか、ビタミンB1は豚肉やうなぎ、大豆、卵などにも含まれます。
成長期の子どもには、エネルギー不足にならないよう糖質はしっかり摂りたいものですね。
【脂質とは】
脂質も三大栄養素のひとつで、エネルギー源や体温保持に欠かせない栄養素です。
少量でも多くのエネルギーを得ることができる効率のよいエネルギー源で、細胞膜やホルモン、脳の神経の構成成分にもなります。
体の中に存在する脂質の種類を分けると、皮下脂肪として蓄えられる中性脂肪、細胞膜を構成するリン脂質、ホルモンや胆汁酸、細胞膜の材料になるコレステロールなどがあります。
脂質の主成分は脂肪酸で、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大きく分けられます。
【摂りすぎ注意!!飽和脂肪酸】
固形のものが多く、乳製品・牛脂やラード、肉類の動物性脂肪に含まれ、血液中の中性脂肪やコレステロールを増やす脂質です。
今注目されているMTCオイルは、中鎖脂肪酸だけを抽出した代表的な食品です。
中鎖脂肪酸は消化吸収されるとすぐに肝臓に運ばれ、分解されてエネルギーを生みやすいのが特徴で、ココナッツオイルのほか母乳や牛乳、乳製品などにも含まれます。
吸収しやすくエネルギーになりやすいため、新生児の発育にもふさわしく、母乳に含まれているのも納得ですね!
とは言っても、あくまで飽和脂肪酸なので、過剰な摂取は避けましょう。
新たに使用する場合は、今使っているオイルに置き換えて使うことをおすすめします。
〇飽和脂肪酸が多い食品
バター、ラード、マーガリン、パームオイル、ココナッツオイル
【注目!!不飽和脂肪酸】
常温では液体で、魚やオリーブオイルなどに多く含まれ、血液中のコレステロールを下げる作用があります。
また、不飽和脂肪酸はその構造から、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸はオリーブオイルに多く含まれ、多価不飽和脂肪酸には「n-3系」と「n-6系」があり、オメガ3やオメガ6とも呼ばれます。
〇n-3系脂肪酸が多い食品
α-リノレン酸:えごま油、亜麻仁油、大豆油、くるみ
IPA(EPA)・DHA:すじこやいくら、まぐろのトロ、さんまなどの青背の魚
〇n-6系脂肪酸が多い食品
リノール酸:サフラワー油(紅花油)、グレープシードオイル、コーン油
アラキドン酸:レバー、卵白
α-リノレン酸・リノール酸・アラキドン酸は体内で合成できないため、必須脂肪酸と呼ばれ、主に食品から摂取しなければなりません。
現代の食生活では、n-6系が摂りすぎ傾向にあるため、n-3系が不足しています。
n-3系を意識して摂るようにしましょう。
ただし、どの脂質も高エネルギーであることには変わりはないので、摂りすぎないように注意してくださいね。
摂取量だけでなく、その脂肪酸のバランスが大切ですよ♪
【脂質が不足すると…摂りすぎると…】
不足すると、エネルギー不足に陥り、肌荒れや便秘、発育不全につながります。
摂りすぎると体脂肪として蓄積され、肥満やメタボリックシンドロームの原因になります。
【効率のよい食べ方は?】
食物繊維にはコレステロールの吸収を抑える作用があります。
脂質の多い食事をとる場合は、野菜や海藻類などと一緒に食べるとgood!
また、不飽和脂肪酸は酸化すると過酸化脂質という有害物質に変化します。
魚や植物油は新鮮なものを選びましょう。
いかがでしたか?
昔はダイエットといえば、糖質よりも脂質を減らすことが常識とされていました。
油を多く含む食品は我慢すべきものでしたが、そこで必要な油まで減らしてしまうと健康を害してしまいます。
現在では糖質のほうを適度に控えて、「よい油をバランスよく摂る」ことが健康維持にもダイエットにも必要とされています。
栄養素は関わり合ってこそ機能します。
糖質や脂質があってもビタミンB群がなければ代謝エネルギーはなかなかつくれません。
糖質も脂質も体のエネルギーとなる、とても大切な栄養素です。
さまざまな食品を組み合わせて、たくさんの種類の栄養素を体内に取り込むことが、子どもたちの健やかな成長へのカギとなります。
バランスのよい食事と規則正しい生活を送り、適度な運動を心がけましょう。
Text by くまこ/食育インストラクター