昨年、日本小児医療保険協議会栄養委員会の報告で、「イオン飲料などの多飲によりビタミンB1欠乏症」が日本小児学会誌2017.5号に掲載されました。
水分補給にイオン飲料などを多量に飲み続け、健康状態が悪化した乳幼児の報告があり、栄養が偏ったためとみられています。
「日本小児医療保険協議会栄養委員会による1986年以降の報告で、7ヵ月~2歳11ヵ月の33人がビタミンB1不足のため、意識障害や浮腫などを起こし、1人は死亡しており、33人のうち24人は2007年以降の報告だった。(朝日新聞社)」とのことです。
【なぜ、イオン飲料でビタミンB1欠乏症?】
イオン飲料と呼ばれほとんどは糖やミネラルを多く含みますが、糖をエネルギーに変換するビタミンB1が含まれていません。
そのため、ビタミンB1を含むミルクや離乳食などを摂らずに飲み続けるとビタミンB1欠乏症になります。
またまれに脚気になることがあります。
【脚気とは?】
ビタミンB1が欠乏すると起こる疾患で、食欲不振や倦怠感、手足のしびれなどの症状があらわれます。
通常の食生活でビタミンB1が不足することはありません。
ただ、イオン飲料などの清涼飲料水やインスタント食品などを摂りすぎると糖質分解にビタミンB1が使われ、体内で不足して脚気を引き起こすことがあります。
イオン飲料は乳幼児が水代わりに毎日飲むようなものではありません。
また、糖が多く含まれているため、頻繁に飲むと虫歯になりやすいという報告もあります。
ではどのような時に与えるべきなのでしょうか?
「日本小児歯科学会」が乳幼児に対してイオン飲料の飲ませ方の対策について記載しています。
- 過激な運動や極端に汗をかいたとき以外は、普通に水を与える
- イオン飲料を水代わりに使用しない
- 下痢や嘔吐でイオン飲料を飲ませたときは症状が軽快したら中止する
のどが渇いたときは普通の水を飲ませるようにする - 寝る前や寝ながらイオン飲料を与えないようにする
夜中にのどが渇いたときには水を与える - 入浴後は水を飲ませる
- 寝る前に歯を磨く
やむを得ず、寝る前や寝ながら与える時は水を飲ませる
あるいは、与えた後に綿棒や指先にガーゼを巻き口腔内を清拭する
ポイントは、イオン飲料を与えるのは極端に汗をかいたり、下痢や嘔吐などで脱水症状がみられる場合のみで、日常においてはミルクや水・お茶での水分補給でじゅうぶんだということです。
もちろんイオン飲料そのものが悪いわけではなく、ミルクや離乳食などを摂らずに飲ませるのはやめましょう。
最悪死に至ったケースがあるので、軽視できませんね。
まだまだ暑い日は続きます。
毎日の水分補給には水やお茶を中心に、特に汗をかいた時にはイオン飲料にするなど上手に組み合わせましょう!
Text by くまこ/食育インストラクター