食品による窒息で、多くの幼い子どもたちが命を失っています。
消費者庁によると、2014年から2019年までの6年間に、食品による窒息死は14歳以下で80名、そのうち5歳以下が73名で9割を占めていました。
なぜ幼い子どもがそんなにも窒息事故を起こすのでしょうか。
【窒息事故が起きる原因】
食品に限らず、窒息事故は特に0歳~3歳の小さな子どもに多く、生後5~6カ月は手につかんだものをなんでも口に持っていくため、注意が必要です。
なんでも口に入れる行動は、子どもの成長の発達段階なので、「やってはダメ」というわけではないのですが、子どもの喉は狭く、飲み込んだり、吐き出す力も弱いため、喉につまりやすく、窒息を起こす可能性が高いです。
離乳食で月齢に合ったかたさや大きさを与えても、上手につぶして飲み込めるかは、子どもによって個人差があるため、しっかり子どもをみながら与えるようにしましょう。
また、市販の離乳食やおかしなど対象年齢が記載されているものもありますが、あくまで目安と考え、子どもの乳歯の生え具合や噛む力、飲み込み方など見合ったものを与えるようにしましょう。
【窒息注意!気を付けたい食品とは?】
以下のような食品は窒息事故の要因となりやすいため、注意しましょう。
●丸くつるっとしているもの
うまく噛めない上、口の中ですべって丸飲みしてしまうことがあります。
さらに丸い形状はスポッと喉の奥にはまりやすく気道をふさぎやすいため、窒息につながる危険性があります。
近年、小学1年生の児童が給食に出たうずらの卵をのどに詰まらせ死亡する事故がありました。
うずらの卵だけでなく、ぶどう、ミニトマト、さくらんぼ、ピーナッツ、球形のチーズ、豆、ソーセージ、こんにゃく、白玉団子、飴、ラムネなどにも注意しましょう。
●粘着性が高く、飲み込みずらいもの
一気に詰め込んだり、よく噛まずに飲み込むと口の中にはりついて取れなくなり、気道をふさぐ危険性があります。
餅、ごはん、パン類、焼きいも、カステラ、せんべいなどに注意しましょう。
●かたくて噛み切りにくいもの
しっかり噛み切らずにそのまま喉に送り込まれると窒息につながる場合があります。
りんご、水菜、いか、貝、えび、グミ、などに注意しましょう。
また、噛み切りにくい、えのきたけなどのきのこ類、焼きのりにも注意が必要です。
3歳児の子どもの口の大きさは直径約4cmぐらいです。
これよりも小さいサイズは子どもの口にすっぽり入り、きちんと咀しゃくせずに飲み込むと危険です。
しかし、大きさが1cm程度のものであっても、窒息を防ぐために、ミニトマトなど丸くツルッとしたものは、小さくカットして与えるか、避けるようにしましょう。
特に、ピーナッツなどの豆類は、気管支まで入り込む可能性があるので、未就学児は避けたほうが無難です。
そのほか、食べ物を口に入れたまま走り回った、一度に何個もほおばってしまった、寝ながら食べたなど、窒息につながる背景も報告されています。
年齢や発達段階によって安全に食べられる食材や形状、食べる姿勢やマナーなど、日ごろから気をつけていきたいものですね。
【もしも子どもが喉に食品を詰まらせてしまったら?】
命にかかわるため、一刻も早い応急処置が必要になります。
喉につまらせると、急に顔色が悪くなり、よだれを垂らして苦しそうな顔をして声が出せなくなります。
窒息状態になると、たった数分で呼吸が止まり、心停止してしまう可能性があります。
直ちに119番、そして応急処置を開始します。
【覚えておこう!子どもが喉に詰まらせた時の応急処置】
①背中を叩く(背部叩打法)
片手で乳児の身体を支え、手のひらで乳児のあごをしっかり支えながらもう一方の手の平のつけ根で乳児の背中をしっかり叩きます。(5、6回を1セット)
②胸部を圧迫する(胸部突き上げ法)
乳児をあお向けにし、片手で乳児の身体を支えながら手のひらで後頭部をしっかり押さえ、心肺蘇生法と同じやり方で胸部を圧迫します。(5、6回を1セット)
乳児の様子を見ながら①と②の対処法を交互に繰り返してください。
体位を変えることで、喉に詰まったものが出やすくなる効果があります。
③腹部突き上げ法(ハイムリック法)1歳以上の場合
背後から両腕を回して、片方の手で握りこぶしにし、子どものみぞおちの下にあてます。
もう片方の手でその上にあてて、両手で腹部を上に圧迫します。
これを繰り返します。
幼児の場合、①と③はその場の状況に応じてやりやすい方法を実施してかまいません。
もしひとつの方法を数度繰り返して効果がなければもうひとつの方法に切り替えて、異物が取れるまで、2つの方法を数度繰り返して続けます。
※政府広報オンライン「えっ?そんな小さいもので?」子供の窒息事故を防ぐ!参照
いかがでしたか?
もしも、子どもが窒息してしまったら頭がパニック状態になってしまうかもしれませんが、命を助けるために、慌てずに落ち着いて行動することが大切です。
普段から応急処置の動作を確認しておくとよいかもしれませんね。
Text by くまこ/食育インストラクター