いよいよ離乳食!
最近、「補完食」という言葉を耳にしますが、どのような違いがあるのでしょうか?
そこで今回は離乳食と補完食についてご紹介します。
【補完食とは?】
WHO(世界保健機関)が提唱している「母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養を補うための食事」のこと。
英語では「Complementary Feeding」で「補完食」と訳され、日本でいう「離乳食」にあたります。
離乳食とは、2019年厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」で、「母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程」としています。
このなかの「補完するために」という言葉は2019年の改訂で加わったもので、これはWHOの補完食の意味をなしています。
補完食も離乳食も、「母乳やミルクで育ってきた赤ちゃんが、最終的に家族と同じ食事がとれるように」という目的や基本的な考え方はほぼ同じです。
【離乳食と補完食の違いはある?】
強いて違いを挙げるとするならば…、
●母乳・ミルクを与えるタイミング、量
離乳食では、母乳やミルクは離乳食のあとに与えることや、離乳食を進める過程で母乳やミルクを減らしていくが推奨されていますが、補完食では、食事量が増えれば自然と減っていくので母乳やミルクを無理に減らす必要はないとされています。
●与える食事量
離乳食のレシピ本はとても細かく、わかりやすいように目安量が記載されています。
あくまで目安ではあるのですが、レシピがあるとそれ通りに作り、分量を守って与えたくなるものですよね。
そういった細かい点を面倒に感じる保護者も多いかもしれません。
その点、補完食では「赤ちゃんが欲しがる分だけ」と特に目安がありません。
これはこれで「どれだけ食べさせたらよいのだろう」と悩んでしまう保護者もいらっしゃるかもしれませんが…。
どちらにせよ本来の離乳食の考えは、「赤ちゃんの成長に沿って食べる量などは調整する」とされていますし、母乳・ミルクの量や赤ちゃんの活動量で大きく変わってくるので、食事量はそんなに神経質になる必要はありません。
●離乳食の初めは10倍粥から?
離乳食のレシピ本では、「初めは10倍粥から」との記載が多いですが、補完食は、10倍粥では母乳の半分のエネルギーしかなく栄養を補えきれないため、5倍粥を推奨しています。
ただ、厚生労働省の「授乳・離乳支援ガイド」では「つぶしがゆ」と記載され何倍とは示していません。
10倍粥でも5倍粥であってもかまいませんが、大切なのはトローっとヨーグルトのようなかたさになっているかどうかです。
離乳食・補完食をすすめていくと必ず立ちはだかる壁。
赤ちゃんが食べたり食べなかったりすることってありますよね。
【せっかく食べられたのに…】
そのあとは吐いてしまった!ということもよくあります。
そんなとき、栄養が足りているか心配になりますよね。
でも、大丈夫。赤ちゃんはひとりひとり違うので、育児書通りに進まなくて当然です。
水分が摂れておしっこがしっかり出ているか、顔色はいいか、機嫌がよく元気であれば、その日に必要な水分やエネルギーは摂取できています。
大切なことは、赤ちゃんが大きくなって元気か、ということです。
赤ちゃんの成長に不安がある場合は、母子手帳に記載されている成長曲線カーブを見比べてみてください。
カーブの範囲内ならOK。
もし、カーブから外れていたり、あまりにも吐く回数や量が多い場合は、かかりつけの小児科医に相談してみてください。
いかがでしたか?
離乳食と補完食では、赤ちゃんの成長や体調に合わせてかたさや大きさ、量などは調整することが求められています。
しかし、ついまわりの赤ちゃんやレシピ本と比較してしまい、同じにならなくてはいけない!と思ってしまいがちですよね。
赤ちゃんの体の大きさや母乳・ミルクの量はそれぞれ違うので、きちんと成長していれば大丈夫!
赤ちゃんの成長とともにパパやママも成長します。
その貴重な時期を親子でぜひ楽しんでください。
Text by くまこ/食育インストラクター