妊娠中は目まぐるしく変わる体の変化に喜びを感じるとともに、不安な気持ちを覚えることもあると思います。
今回は、妊娠中の食事にスポットをあて、そのポイントをご紹介していきます。
【妊娠初期】
妊娠初期はつわりなどが始まり、妊娠を継続するための体の変化が一番大きい時期といってもよいかもしれません。
自分が食べないと、赤ちゃんが育たないのではないかと不安になると思いますが、初期はまだそこまでたくさんの栄養を必要としていないので、
つわりがある方は
- 食べられるものを食べる
- 小分けにして少しずつ食べる
- 水分をこまめにとる
を心掛けましょう。
水分、食事がほとんどとれずに体重がどんどん減少してしまう・おしっこの量が減る・寝込んでしまうといった場合は、次の健診を待たずに病院に連絡、指示を仰いでください。
つわりが軽い、またはまったく自覚症状がないなど妊娠前とあまり変わらない体調の方は、葉酸・鉄分・カルシウム・ビタミンなどを意識して摂るとよいですよ。
なかでも、妊娠初期の葉酸の摂取は赤ちゃんの発育にとても重要といわれていますので、ブロッコリーや枝豆・いちご・キウイフルーツなどの葉酸が多い食材がおすすめです。
一度にたくさん摂ってもすべての栄養を使うことは出来ないため、食事ごとに適量を摂り入れていきましょう。
この時期は妊娠前とほとんど変わらない量の食事で問題ありませんので、食べ過ぎには気を付け、「量より質」を大切にしてくださいね。
妊娠初期はママだけでなく、赤ちゃんもさまざまな変化が起こっています。
つわりがある方はつらい時期ですが、赤ちゃんも頑張っていますので一緒にのり切りましょうね。
また妊娠の超初期段階であれば妊娠に気が付かずアルコールの摂取をしてしまったり、生理痛のような痛みがあったりもするので、PMS症状のひとつかなと思って鎮痛剤を飲んでしまっていたということも多いでしょう。
とても悩んでしまう場合もありますが、大抵は妊娠が継続されているなら問題がないものがほとんどです。
それよりも、その事実は隠さず健診時に医師に話すと、適切なアドバイスをいただけて安心ですよ。
【妊娠中期】
妊娠中期は赤ちゃんの胎盤が完成するので、つわりがあった方もピークを越え、心身ともに安定した時期に入るころです。
軽い運動などをしてもよいといわれるのもこの時期ですが、勝手な判断は禁物!
必ず医師に相談し、OKが出た場合でも体の変化に耳を傾け、無理はしないようにしましょう。
食事の面では赤ちゃんの体を作るうえでも重要なたんぱく質をはじめ、母体の貧血予防に葉酸や鉄分を引き続き意識していきます。カルシウムも不足しやすいので、乳製品や小魚、大豆製品などからとりましょう。
つわりが治まる方がほとんどなので、食欲が増してしまい、体重増加を指摘される方も多くなります。
妊娠初期と比べて、1日あたりご飯茶碗1杯程度のエネルギー増加が目安です。
「妊婦はおなかの赤ちゃんの分までしっかりと食べないといけない」と、たくさんの食事をとるように言われていた時代もあったようですが、過度な体重の増加は難産や妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病を起こす要因にもなりますので、気を付けて。
しかし、現在の妊婦はやせ過ぎの傾向にある方も多く、体重が思うように増加しないことで悩む方も増えています。
体重の増加も、人によってさまざまなので、ほかの方と比べることはしない方がよいでしょう。
健診時に赤ちゃんの発育状況を診て医師が判断するので、気になる場合は食事のとり方や量などを相談するとよいですね。
【妊娠後期】
いよいよお産に向けて最終段階に入ってくる妊娠後期は、バランスよくいろいろな栄養を摂ることを意識したい時期です。
赤ちゃんにたくさんの栄養を送るため、必要な血液量が増えるのにともなって、貧血気味になるママが増えてきます。
また、むくみも頻発しやすくなるので、妊娠高血圧症候群を指摘されていなくても、塩分は控えめにした方がよいでしょう。
今までのおすすめ栄養素に加え、カリウムを多く含む、野菜や海藻類、果物などをしっかりとり、出汁などのうま味や酸味系の食材・調味料のほか、スパイスなどを使った食事を心がけてのり切りましょう。
中期から後期は食べる量が変わらないのに体重だけが増加してしまうという話も聞きます。
しかし、体重の増加が気になるからといって、食べる量を減らしてしまうことがよいとは限りませんので、医師に確認して少し歩く時間を増やしたりするなどの対策をしてくださいね。
【妊娠全期を通して気をつけたいこと】
妊娠中は上記にあげた食事のとり方に加え、以下のことを出産まで気にかけるとよいと思います。
- バランスのよい食事、主食(ご飯やパン、麺類などの炭水化物)・主菜(肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質)・副菜(野菜や海藻類、フルーツなどのビタミン・ミネラル類)をさまざまな食材からとり、塩分・糖分・油分のとり過ぎに気を付ける。
- 新鮮な食材を選び、生食するような野菜・果物類は特にしっかりと洗ってから使う
- カフェインを含む飲み物などは飲み過ぎないように注意し、アルコール飲料はとらない!
- 水銀の多い魚の食べ過ぎに気を付け、食中毒の原因物質が胎盤を通して胎児に影響を与える恐れがあるので、そのリスクの高い食材(生肉や生卵・生ハムやスモークサーモン・ナチュラルチーズなど)は出産後の楽しみとし、中途半端な加熱をしたものも食べない方が無難です。
などに気をつけましょう。
食べたり飲んだりしてもよいか迷った場合は、担当医や助産師などに確認してくださいね。
サプリメントの摂取に関しても、妊娠時期によって摂り過ぎない方がよい栄養などもあるので、医師に確認してからの服用が望ましいです。
食事のバランスが気になるときは、栄養士と話せる場合もあるので、健診のときにその旨を伝えてみるのもおすすめです。
妊娠中は楽しいうれしいことだけではないかもしれませんが、おなかの赤ちゃんをはじめ、家族と一緒に出産まで協力して過ごしていけるとよいですね。
Text byさゆり/食育インストラクター