妊婦健診は、お腹の赤ちゃんの成長がみられるので楽しみですよね。
その一方、体重管理にビクビクしているプレママさんも多いのではないでしょうか?
そんな厳しい妊婦の体重管理ですが、なんと2021年3月、厚生労働省の体重管理の指導目安が引き上げられました。
2006年の「妊産婦のための食生活指針」の策定後、15年ぶりの改定です。
【改定の内容は?】
妊娠前からの健康なからだづくりや適切な食習慣の形成が重要であるとし、妊娠前の女性も含んだ「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」と変更しました。
特に大きく変わったところは、妊娠期における望ましい体重増加量で、従来より3kg程度増加しています。
ちなみにBMI(Body Mass Index)は
【体重(kg)】÷【身長(m)×身長(m)】で算出されます。
肥満度を表す指標として国際的に用いられていますが、肥満の判定基準は国によって異なります。
【改定理由】
若い女性のやせ傾向と新生児の低体重増加傾向によるもので、厚生労働省の人口動態統計によると、2500g未満の低出生体重児は1980年で5.2%、2017年には9.4%に増えています。
日本の低出生体重児の割合は、この30年にわたって増え続けており、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均の6.5%を大幅に上回っています。
低出生体重児は成人後に糖尿病、高血圧といった生活習慣病などのさまざまな病気の発症リスクが高くなることが、多くの先行研究で報告されています。
UNICEFやWHOは受胎から満2歳の誕生日までの適切な栄養が将来の健康維持に重要であると提言しています。
【肥満にも注意!!】
BMI25以上の方が妊娠すると、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などを発症するリスクが高まります。
また、緊急帝王切開、分娩後大量出血などの異常も多くなるため、注意が必要です。
ただし、妊娠中の極端なダイエットは、胎児の発育へ影響を及ぼすことにもつながるため、個別の対応が必要になります。
主治医に相談して指示に従ってくださいね。
【量より質!!バランスのよい食事を!】
「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」には、10項目の指針が示されています。
① 妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
② 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
③ 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
④ 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
⑤ 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などカルシウムを十分に
⑥ 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
⑦ 母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
⑧ 無理なくからだを動かしましょう
⑨ たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
⑩ お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから
※妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~解説要領(令和3年3月厚生労働省)抜粋
上記に気を付けながら、1日3食をしっかりとり、1食でごはんやパン、麺類などエネルギー源となる「主食」、肉や魚、大豆製品など血液や筋肉をつくるたんぱく質を含む「主菜」、野菜やきのこ類などからだの調子を整えるビタミンやミネラルが豊富な「副菜」をそろえて食べることがベストです。
とはいえ、料理をするのが難しいときもあると思います。
そんなときは外食や中食をうまく利用し、多様な食品から必要な栄養素をバランスよくとるように心がけましょう。
また、ウォーキングや妊娠水泳、マタニティビクスなどの軽い運動はストレス発散にもなります。
新しく運動を始める場合や、体調に不安を感じる方は、必ず主治医の先生に相談してくださいね。
いかがでしたか?
妊娠中の適切な体重増加は、健康な赤ちゃんを出産するために大切なことです。
体重コントロールは難しいですが、食事は量より質を意識してできることから始めてみてください。
Text byくまこ/食育インストラクター