大人でも突然発症!?知っておきたい食物アレルギーのいろは

大人でも突然発症!?知っておきたい食物アレルギーのいろは

食物アレルギーと聞くと、なんとなく小さい子がかかるものだと思ってはいませんか??
食物アレルギーがある子供は年々増加傾向にありますが、それと同時に実は大人も当然発症するというケースも増えてきています。

【食物アレルギーとは??】
食事をした時に、身体が食物(に含まれるタンパク質)を異物として認識し、自分の身体を防御する為に過敏な反応を起こす事を指します。
食物アレルギーは大きく次の2つに分類されます。

(1)即時型アレルギー
食べてからすぐに症状が起きるタイプのアレルギー。症状は食べた直後から1時間後、遅くとも4時間以内に見られます。
<主な症状>
じんましんや紅班(皮膚が赤くなること)、むくみが一番多い症状ですが、咳・喘息発作、嘔吐・腹痛・下痢などが見られることもあります。
血圧が下がって意識が遠のいてしまうアナフィラキシーショックが一番重い症状です。
皮膚症状は発症頻度が最も多く、呼吸器や全身症状になるにつれ重篤であると判断されます。

(2)遅延型アレルギー
食べた翌日や二日後など時間が経ってから症状が起きるタイプのアレルギー。
<主な症状>
頭痛・めまいなどの精神神経症状、肩こり、慢性疲労や便秘・下痢などの腹部症状、肌荒れ・にきびなどの皮膚症状など現れる症状は多彩で、即時型アレルギーのように命に関わるような重い症状が現れることは稀です。
体調不良あるいはメンタルの不調として片付けられるような症状が多いので注意が必要です。
症状が現れるまでの時間が長い為、原因となる食物とその症状との関係が分かりにくいのが特徴です。

【代表的なアレルゲン】
小児→卵や牛乳
成人→エビやカニ等の甲殻類・小麦・果物・魚
が多いとされています。
近年増加している新しい食物アレルギーのタイプとして、「口腔アレルギー症候群」が挙げられます。
成人の女性に多いとされ、アレルゲンは果物(キウイ、メロン、モモ、パイナップル、リンゴなど)あるいは野菜です。
喉がイガイガする、かゆいなどの口腔内の症状だけの場合が多いのですが、ショック症状が出る事もあります。
花粉症との関連性もあると考えられています。

【大人の食物アレルギーのメカニズム】
食べる事によって発症するもの(経口感作)と、皮膚や粘膜のアレルギーから始まるもの(腸管外感作)との二つに分かれます。
成人で食べて発症する食物アレルギーの代表が小麦のアレルギーです。
乳幼児の場合と違って成人の小麦アレルギーの多くは、小麦を食べるだけでは平気ですが、小麦を食べた後に運動した場合にのみアレルギーが起こる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という特徴的な病状で発症します。
10代半ば位の年齢からもこのような成人タイプのアレルギーが増えてくるので、この食物依存性運動誘発アナフィラキシーも珍しい病気ではありません。
日常的に摂取している人の一部が、毎日食べているうちに段々と小麦のアレルギーになっていくのであろうと考えられています。

【食物アレルギーとうまく付き合っていく為には】
アレルギーを発症すると日々の食事にも気を配らなければいけません。
食材の買い物の際には裏面の原材料欄やアレルギー表示などを細かくチェックし、外食ではアレルゲンが含まれていないかお店の人に尋ねるなど細心の注意が必要になります。
皮膚症状が出ると皮膚科を受診する方も多いと思いますが、食べ物を食べた後に発症したのであれば食物アレルギーを疑い、アレルギー専門医にかかりアレルギーの明確化(何が原因食材なのか?対応は完全除去なのか、加工品は大丈夫なのか?など)を図る必要があります。

残念ながら、大人の食物アレルギーは認知度が低いのが現状です。
今まで食べていた物が、ある日突然アレルギーで食べられなくなってしまうのは大きなストレスになります。
それを少しでも緩和させるような周りのサポートは必要不可欠です。
「食べたくても食べられない」人が居るという事を周囲がしっかりと理解し、知識や情報の共有をしっかり行なう事が大切です。

Text by ろい/食育インストラクター