食物によるアレルギー疾患を持つ方は年々増加傾向にあり、それにともなってアレルゲン除去食なども注目を集めていますね。
このシリーズでは、アレルゲン除去による栄養対策として、簡単に出来るレシピをご紹介します。
今回は、乳製品以外からカルシウムを摂るためのレシピです。
【食物アレルギーとは】
食物アレルギーは、特定の食物を食べることによって免疫システムが過敏に反応する現象です。
原因となるアレルゲンは食物に含まれるたんぱく質で、消化吸収されると、血中でIgE抗体(免疫グロブリンE)というたんぱく質が作られます。
再び同じ食物が体内に入ると、IgE抗体が過敏に反応し、アレルギー症状として現れます。
【食物アレルギーかなと思ったら】
起こりやすい症状としては、皮膚症状・呼吸器症状・粘膜症状・消化器症状が挙げられます。
反応がとても強く出ると、アナフィラキシーを起こし、アナフィラキシーショックなどの命に関わるショック症状を起こすことがあります。
ほとんどは食べた直後~2時間くらいで発症しますが、摂取後6~8時間後や、1~2日経って症状が現れる場合もあります。
また一見すると無関係に見える、頭痛や血圧低下・不整脈の症状が出ることもありますので、違和感を覚えたら、自己判断はせず、速やかに専門医に相談してください。
特に年齢の低い子どもは自分の状態をうまく伝えることが出来ないので、初めて食べる食材のほか、体調を崩しているときの食事後などはいつも以上に気にかけてあげましょう。
【湯葉と小松菜のサッと煮】
湯葉と小松菜の食感を残したサッと煮は、副菜としてぴったりです。
サッと煮るだけなのでお手軽なのもうれしいですね。
手に入るようであれば、生湯葉で作ってOKです。
<材料(作りやすい分量)> 調理時間:20分
乾燥湯葉・・2枚(5g)
小松菜・・100g
しいたけ・・2枚
A出汁・・200ml
Aしょうゆ・・小さじ2
Aみりん・・大さじ1
塩・・少々
出汁溶き片栗粉・・適量
しょうが(おろし)・・お好みで
<作り方>
- 湯葉は袋の表示通りに戻し、大きいものは食べやすいサイズに切る
- 小松菜はたっぷりの湯に塩(湯の量の1%)を加えたところで20~30秒ゆでて冷水に取り、しっかりと水気をしぼって4cm長さに切る
- しいたけは笠と軸に分け、笠は薄切りに、軸は手でさく
- 鍋にA・(3)を入れて沸かし、(2)を入れてサッと煮る
- 小松菜が少ししんなりとしたら、湯葉を入れて2~3分煮、塩で味を調えて出汁溶き片栗粉でトロミをつける
- 器に盛り、お好みでおろししょうがを添えていただく
【栄養】
畑の肉とも呼ばれる大豆の加工品「湯葉」は、豆乳を加熱したときに出来る膜をすくい上げたものです。
たんぱく質をはじめ、カルシウムやカリウム・マグネシウム・鉄・食物繊維などを含みます。
大豆には女性ホルモンと似た構造のあるイソフラボンが多いので、更年期症状を緩和する働きなども期待できます。
小松菜は野菜の中でもカルシウムが豊富です。
そのほかにも、鉄やβ-カロテンも入っているので、貧血や風邪の予防にもおすすめです。
カルシウムが不足すると子どもではくる病という骨がもろくなる病気になったり、大人では骨軟化症や骨粗しょう症を引き起こします。
今回は、カルシウム豊富な湯葉と小松菜にぴったりなビタミンDを含むしいたけを合わせました。ビタミンDは体内でのカルシウムの吸収を高めます。
しいたけ以外に、しめじやまいたけなどもビタミンDがたっぷりなので、お好みのきのこを合わせてもよいですね。
いかがでしたか。
近年はアレルギーに対する理解が深まり、アレルギーを持っていない人と一緒に楽しめるようなレシピもたくさん出ていますので、いろいろと試してみてください。
Text by さゆり/食育インストラクター