近年、食物アレルギーのある子どもが増えています。
鶏卵・牛乳・小麦の割合が多いですが、健康志向の高まりによりナッツ類全般の消費量は増加傾向にあり、くるみアレルギーを発症する人は子どもだけでなく大人も急増しています。
そのため、2020年6月に消費者庁は、現在アレルギー表示推奨品目であるくるみを、アレルギー表示義務化品目に加える方針を発表しました。
【くるみアレルギーはどれだけ増えたの?】
消費者庁が令和4年3月に作成された報告書の「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」によると、原因食物は鶏卵が最も多く、以下、牛乳、木の実類でした。
前回の調査まで原因食物の上位3品目は鶏卵・牛乳・小麦でしたが、今回の調査では木の実類の割合が増加し、全体の13.5%を占め、鶏卵・牛乳に次いで3番目に多い品目となりました。
木の実類の内訳は、くるみが463例(木の実類の56.5%)で最も多く、全体に対する割合の7.6%で、落花生の6.1%より上位だということがわかります。
また、ショック症状を引き起こした原因食物も、木の実類の割合は増加し、鶏卵・牛乳に次いで第3位となりました。
木の実類の内訳もくるみが58例で全体の8.8%を占めて最も多く、落花生の7.0%を上回っています。
<ショック症状を引き起こした木の実類の内訳>
※「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」参考
つまり、「くるみ」が即時型症例・ショック症例の件数が、鶏卵・牛乳・小麦に次いで第4位だということがわかりました。
【いつから表示義務化されるの?】
消費者庁は今年度内に基準の改正を行う方針で、経過措置を経たあとの2025年4月1日から、それ以降に製造されたり加工されたりしたものについて「くるみ」を表示することが義務づけられます。
義務表示化されても、外食やテイクアウト、お惣菜やお菓子などを購入するときには、原材料にくるみが使われていないか、あるいは製造過程で含まれる可能性がないかの確認することが重要になります。
【知っていた?「ピーナッツ(落花生)」は木の実ではない?】
「ピーナッツ(落花生)」は名前に「ナッツ」とついているからナッツ類(木の実)でしょ。と思っている人、結構いるのではないでしょうか?
実は、ピーナッツはナッツ(木の実)の仲間ではありません。
ナッツはご存じの通り、「種実類」の木の実ですが、ピーナッツは「豆類」のマメ科植物の種実なのです。
そのため、ピーナッツのアレルギーがあっても、木の実類(くるみ・アーモンド・カシューナッツなど)や種実類(ごま・松の実・ひまわりの種・マスタードなど)をすべて除去する必要はありません。
また、ピーナッツ以外のほかの豆類もまとめて除去する必要もありません。
しかし、ピーナッツ、ナッツ全般のアレルギーをお持ちの方は多くいます。
除去すべき食物はなるべく最小限にとどめるよう、主治医の先生にしっかり確認してもらってくださいね。
くるみはお菓子やみそ、パン、ドレッシング、BBQソースなどさまざまな加工品に使用されています。
見た目では判断しづらい場合があるので、くるみアレルギーの方は原材料欄をよく確認して、アレルギーとうまく付き合っていきましょう♪
Text byくまこ/食育インストラクター