アレルゲン除去による栄養対策レシピ~動物性たんぱく質除去 車麩のチリソース炒め~ 

食物によるアレルギー疾患を持つ方は年々増加傾向にあり、それにともなってアレルゲン除去食なども注目を集めていますね。
このシリーズでは、アレルゲン除去による栄養対策として、簡単に出来るレシピをご紹介します。
今回は、動物性たんぱく質以外からたんぱく質を摂るためのレシピです。

【食物アレルギーとは】

食物アレルギーは、特定の食物を食べることによって免疫システムが過敏に反応し、起こります。(皮膚や粘膜に成分が付着・吸収され、起こる場合もあります。)
原因となるアレルゲンは食物に含まれるたんぱく質で、それが体内に入って消化吸収されると、血中でIgE抗体(免疫グロブリンE)というたんぱく質が作られます。
その後、再び同じ食物が体内に入ると、IgE抗体が過敏に反応し、アレルギー症状が現れます。
ひと口にたんぱく質といっても、食材によって構造が違うので、卵のたんぱく質に反応する方や、乳製品のたんぱく質に反応する方などさまざまです。

【食物アレルギーかなと思ったら】

起こりやすい症状としては多い順に、

  • 皮膚症状(かゆみ・じんましん・紅斑など)
  • 呼吸器症状(咳・ぜんそくの様なゼイゼイとした状態など)
  • 粘膜症状(目の充血・くしゃみ・口の中や瞼・気道内の腫れなど)
  • 消化器症状(腹痛・嘔吐・下痢など)

が挙げられます。
反応がとても強く出ると、アナフィラキシーを起こし、アナフィラキシーショックなどの命に関わるショック症状を起こすこともあります
症状が出るまでの時間もさまざまで、ほとんどの場合は食べた直後~2時間くらいで発症しますが、摂取後6~8時間後や、1~2日経って症状が現れたりもします。
また一見するとアレルギーとは無関係に見える、頭痛や血圧低下・不整脈の症状が出る事もありますので、自分や家族の様子がいつもと違うと感じたら、自己判断はせず、速やかに専門医に相談してください。
特に年齢の低い子どもは自分の状態をうまく伝えることが出来ないので、初めて食べる食材のほか、体調を崩しているときの食事後などはいつも以上に気にかけてあげましょう。


【車麩のチリソース炒め】

歯ごたえのある車麩を使って、エビチリ風の一品にしてみました。
高野豆腐や大豆ミート製品など、好みのたんぱく源で作ってもOKです。

 <材料(2~3人分)> 調理時間:30分
車麩(乾)・・6枚(50~60g)
片栗粉・・適量
にんにく・・1/2かけ
しょうが・・1/2かけ
豆板醤・・小さじ1/4~
Aトマトケチャップ・・大さじ4
A塩・・小さじ1/2
A砂糖・・大さじ2
A水・・大さじ2
A甘酒・・大さじ2
A酢・・小さじ1~2
Aこしょう・・少々
長ねぎ・・1/3本分
サラダ油・・適量
ごま油・・小さじ1

<作り方>

  1. 車麩はたっぷりの水でしっかり戻す(20分ほどかかります)
    にんにく・しょうが・長ねぎはみじん切りにする
    戻った車麩の水気をしぼり、1つを4~6等分に切って片栗粉をまぶす
  2. フライパンに多めのサラダ油を熱し、車麩を入れて両面こうばしく焼き、取り出す
  3. 同じフライパンにサラダ油(小さじ2くらい)・にんにく・しょうがを入れ、弱火で加熱する
  4. にんにく・しょうがに火が入ってきたら、豆板醤を加えて炒める
    豆板醤の香りと辛みが立ってきたら、よく混ぜたAを入れ、沸かす
  5. (2)を戻し入れてサッと炒め合わせ、長ねぎを加え、ごま油を回し入れる

<ポイント>

  • 辛味が苦手な方は豆板醤を減らすか、抜いても構いません。
  • 麩は、メーカーによって戻り率が多少違います。
  • 焼き始めは麩同士がくっつきやすいですが、焼いているうちにはがれやすくなります。
  • お好みで香菜を添えてもおいしいです。

【麩】

麩は奈良時代初頭に中国から伝来し、その後さまざまな種類が作られた日本の伝統食品のひとつです。
主な原料は小麦粉に含まれるグルテンというたんぱく質で、代表的な物としては蒸して作る生麩、焼いて作る車麩、板麩、油で揚げた油麩などがあります。
麩は、味がほとんどなく、出汁などがしみ込みやすいので、煮物などに向く食品です。
また消化吸収がよいため、小さなお子さんでも食べやすく、病気の方の食事や、ダイエットをしている方にもおすすめです。
麩は、たんぱく質が豊富な食品なので、今回のように動物性食品を召し上がらない方のたんぱく質補給としても利用されます。
料理だけでなく、お菓子の材料としても注目されていますので、いろいろな調理法をお試しください。

いかがでしたか。
近年はアレルギーに対する理解が深まり、アレルギーを持っていない人と一緒に楽しめるようなレシピもたくさん出ていますので、いろいろと試してみてくださいね。

Text by さゆり/食育インストラクター