普段使いから行事食まで、種類いろいろ「豆」の話

料理やお菓子に使うのはもちろん、豆腐やみそ、しょうゆなどの加工品にも使われている豆は、私たちの食生活に欠かせない食品です。豆の種類はいろいろ。
そこで今回は豆の種類やおいしいゆで方などをご紹介します。

【豆の代表的な種類】

「豆類」は、マメ科の植物で種子を食用にするものを表します。
豆の品種によって新豆の時期は異なりますが、一般的に10~12月が新豆が採れる季節です。
それを乾燥させることによって長期保存が可能になり、いつでもおいしい豆が食べられます。
世界にはマメ科の植物が約1万8千種もあると言われ、そのうち食用とされているのは約70種
今回はそのなかから代表的な豆類4つをご紹介します。

■大豆
大豆は、「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高い食材として知られています。
豆腐をはじめ、納豆や味噌、しょうゆなどの原料としてよくみかける「黄大豆」のほか、郷土料理のひたし豆やうぐいすきな粉に使われる「青大豆」、おせち料理に欠かせない黒豆の煮物に使われる「黒大豆」などがあります。

■小豆
小豆の赤い色には神秘的な力があると古くから信じられており、古くから魔除けやお祝いごとに用いられてきました。
普通の小豆より粒が大きいものを「大納言」と呼んでいます。
大納言は皮が破れにくく煮崩れしにくいことから、粒をいかした和菓子によく使われています。
小豆とは別種ですが、見た目がよく似たものに「ささげ」があります。

■いんげん豆
豆類のなかで品種が豊富で世界中で日常的に食べられている豆のひとつです。
色や大きさ、柄が多様で、豆全体が真っ白な「白いんげん豆」、鮮やかな赤紫色の「金時豆」、うずらの卵のような模様がある「うずら豆」、虎の毛皮のような模様がある「虎豆」などがあります。

■えんどう豆
乾物としてはなじみがないかも知れませんが、さやえんどう、スナップえんどう、グリーンピースと同じ品種です。
乾燥豆には煮豆やうぐいすあんなどに使われる「青えんどう」、豆大福や蜜豆などに使われる「赤えんどう」が日本では一般的です。


【豆の選び方と保存方法】

全体的にハリがあり、しっかりとした重みがあるものを選びましょう。
豆は常温保存が可能ですが、夏場など暑い時期には、冷蔵庫の野菜室に入れて保存するとより長持ちします。
開封したものは乾燥しやすいので、賞味期限に関わらずできるだけ早く使い切るようにしてください。
一度に使い切れない場合には、ゆでてから冷凍保存するのがおすすめです。

【乾燥豆の基本的な戻し方とゆで方】

<戻し方>
豆を水で洗ったあと、水気をしっかり切って豆の3~4倍の水にひと晩浸けます。
急いでいるときは熱湯に浸けると、豆の大きさにもよりますが、だいたい2~3時間で戻ります。
どちらの方法にしても、皮にしわがなく、ふっくらと膨らんだらOKです。(豆によっては水に浸ける必要のないものもあります)

<ゆで方>

  1. 豆を戻すときに浸した水ごと鍋に入れ、中火~強火にかける。
    沸騰したらザルに上げ、ゆで汁を捨てる。
  2. 鍋に豆を戻し、たっぷりと水を注いで強火にかける。
    沸騰したらアクをとり、落しぶたをして弱火でゆでる。
    ※途中、ゆで汁が少なくなったら差し水をして水面から豆が出ないように気をつけてください。
  3. 指で豆をつまみ、簡単に中心までつぶれたらゆで上がりです。

<豆がゆで上がるまでの目安の時間>

小粒の豆…40~50分、中粒の豆‥50~60分、大粒の豆…60~70分
※新豆であったり、豆の戻し具合などによって、ゆでる時間は異なります。

【豆と行事食】

豆は古くから縁起物として年中行事にも多く使われてきました。

■正月
お正月には欠かせないおせち料理に入っている黒豆。
黒豆には「まめに働けますように」、「まめに暮らせますように」という願いが込められています。
また、黒は魔除けの意味も持っています。

■節分
節分には「鬼は外」、「福は内」と大豆をまいて悪い鬼を払います。
大豆は五穀のひとつで霊力があり、邪気を払う力があると考えられていました。
そのほか、「まめ」が「魔目(鬼の目)」や「魔滅(鬼を滅する)」に通じることから鬼を追い払うといった意味があるとされています。

■春分・秋分、夏至・冬至
春分の日には「ぼたもち」、秋分の日には「おはぎ」
、そして夏至の期間である夏越しの祓には「水無月」冬至には「小豆粥」を食べる風習が残っています。
先ほどもお話ししましたが、小豆の赤い色には邪気を払う力があるとされ、無病息災の願いが込められています。

豆はおいしいだけでなく、小さな粒のなかには栄養もたっぷり!
乾燥豆をゆでるのは大変ですが、最近ではいろいろな種類の豆の水煮が売られており、手軽に豆を食べられるようになっています。
ぜひ、普段の食事に豆をとり入れてみてはいかがですか?

Text by まち/食育インストラクター