卵は世界中で食べられている食品のひとつ。
実は、日本人は1人あたりの卵の年間消費量が多く、世界でも指折りの卵好きな国です。
今回はそんな卵にまつわるお話です。
【日本人は卵大好き?】
海外では、日本人は魚介類が好き、とイメージされることが多いようです。
島国であり、昔から数々の海の幸を食べ、寿司などの独自の食文化を形成している日本は、確かに魚の消費量が多い国のひとつです。
しかし、魚の影に隠れているものの、日本は卵の消費量も多いのです。
農林水産庁のデータ(Monthly食肉鶏卵速報 令和6年10月)によると、2023年の年間1人あたりの卵の消費量は16.5Kg。
卵1個(L玉)は60gとしてざっくり計算すると…なんと、1年間で食べる卵は275個!ということになります。
卵そのものを食べることは少ないという人でも、卵を使ったパンやお菓子・加工食品などはたくさんあるので、知らずに食べていることは多いのです。
これだけたくさん卵を食べるのは、おいしいからはもちろんのこと、栄養があるから・ある程度保存ができるから…など、さまざまな理由があります。
そのなかでも、卵は価格が安定してお手頃だから、という部分は見逃せません。
日本の卵の自給率は97%。
輸入品に頼らず、自国だけでほとんどの消費をまかなえている食品です。
生産者の努力と流通の発達などにより、新鮮な卵がいつでも安価で購入できることは、卵の消費量の多さの一因と言えるでしょう。
しかし、昨今の物価の上昇により、卵の価格も少しずつ上がりつつあります。
これは、世界的な物価高によって鶏の飼料となる雑穀などの価格が高騰していることや、飼育環境を整えるための光熱費などさまざまな経費が上がっているためです。
卵は数十年価格の大きな変動が無く、物価の優等生と言われていますが、今後も価格の変動が起こる可能性が高い状況といえます。
家計のためにも、今後も注視しておきましょう。
【生もの好きは卵でも?】
世界には1人あたりの卵の消費量が日本よりも多い国(メキシコ・アルゼンチンなど)がありますが、これらの国では見られない、日本独自の卵の食べ方があります。
それが、生卵を食べることです。
日本の卵の賞味期限は世界的にもかなり短く取られています(およそ2週間程度)、一方、ほかの国では30日以上と比較的長い期間で書かれています。
これは、日本では卵の賞味期限を、「生卵として安全に食べられる期間」としているためです。
生卵を食べるという習慣そのものが無い国では、生食可能な期間を書く必要が無いということなのですね。
このことから、日本のソウルフードと言われることもある卵かけご飯は、海外ではまったく想定されていない食べ方だと言えるでしょう。
もし海外で生活する場合は、卵の賞味期限の扱いが日本と異なることは覚えておいた方がよいかもしれません。
また、日本の卵で賞味期限が切れている場合でも、冷蔵庫で適切に保存され、しっかり加熱調理するのであれば、問題なく食べられる場合が多いです。
とはいえ、日にちが経つほど卵の味が落ち、食中毒のリスクが高まっていくのも事実なので、期限が切れてから1週間程度のうちには食べきるようにした方がよいでしょう。
物価高騰の波があるとはいえ、卵は生産・流通が安定しているので、無理に買い溜めして賞味期限を何日も過ぎてしまうよりも、新鮮な卵を賞味期限内に食べきれる分だけ購入する方が、おいしく安全です。
【卵と栄養】
卵は完全栄養食と呼ばれるほどたくさんの栄養素を含んでいます。
卵に含まれていない栄養素はビタミンCと食物繊維ぐらいで、これらを補うように食品を組み合わせると、さらにバランスがよくなります。
野菜や果物はビタミンCや食物繊維を含むので、卵と一緒に食べるのにおすすめです。
また、野菜や果物は生食できるものが多いこともメリットで、加熱や酸化に弱いビタミンCを無駄なく摂ることができます。
ぜひサラダなどと合わせて召し上がってください。
日本人が大好きな卵。
現在の物価高騰の影響は今後の懸念のひとつではありますが、それでも比較的安価と言えるラインを保っていて私たちの食になくてはならない存在です。
これからもさまざまな料理に活用して食べていきたいですね☆
Text by はむこ/食育インストラクター