手は体の中でも、最もよく動かす部分です。
露出することが多いだけに、ケアを怠ると実年齢以上に老けて見えてしまい、悩ましい場合も…。
今回はそんな、手の中でも荒れやすい爪についてのお話です。
【よく伸びる=健康のバロメーター?】
爪は皮膚の一部で、指先の保護や、物を掴みやすくするなどの働きがあります。
髪の毛と同じく、たんぱく質のケラチンで構成されていて、個人差があるものの1日あたり0.1mmほどのスピードで伸びるので、目で見ても変化がわかりやすく、新陳代謝が活発な部分と言えるでしょう。
そして、特にネイルなどをしない方でも、数日に一度程度は爪切りを行っていることが多く、老若男女を問わず、セルフケアを頻繁に行っている部分です。
そんな爪は、体調の変化を自分で気づくためのバロメーターの役割もあります。
水仕事などの外的要因で手荒れとともに爪の状態が悪くなることもありますが、体内の状態を反映して荒れている場合もあるからです。
健康な状態であれば、表面がなめらかでピンク色の爪が生えているのですが、栄養不足の場合は色が白っぽくなったり、割れやすくなったりします。
なぜなら、必要な栄養は生命維持に関わる内臓などへ優先して回されるからです。
体の末端にある爪への栄養はあと回しにされてしまうので、栄養不足だと薄く、もろくなりやすいのです。
特に何もしていないのに、爪に縦線や横線が目立っていたり、色が悪くなっている・割れたり欠けたりしやすいと思ったら、それは体が栄養不足を訴えているからかもしれません。
【具体的に足りていない栄養素は?】
爪の状態を見て栄養不足かも?と気づくことはできますが、具体的にどの栄養素が不足しているのかはわかりにくいものです。
まずチェックするべきなのは、摂取カロリーに不足が無いかどうかです。
日々の運動量によって変動はするものの、成人男性では1日あたり2650kcal・女性でも2000kcal程度のエネルギーが必要です。
ダイエットなどで厳しいカロリー制限をすると、爪に影響が出やすいのは覚えておきたいポイントです。
また、爪の主成分であるケラチンはたんぱく質なので、たんぱく質を過不足なく摂りましょう。
たんぱく質が多く含まれる食品は、肉類・魚類・卵・大豆製品などです。
さらに、爪は新陳代謝が激しい部分なので、代謝に関わる栄養素を欠かさないことも大切です。
なかでも、ケラチンの合成に関わり、爪の強度を保つ亜鉛や、代謝をスムーズに行うために必要なビタミンB群は大事な役割を担っています。
亜鉛は肉類・魚介類・大豆製品・種実類などに多く、たんぱく質の多い食品と重複するので、主菜に取り入れると一石二鳥です。
ビタミンB群は一品ですべての種類を摂取できる食品は無いので、野菜・穀類・果実類などをバランスよく組み合わせながら摂りましょう。
また、緑黄色野菜に多いβ‐カロテンは爪の乾燥を防ぐので、野菜もたっぷり食べることで、多くのビタミンを摂取できますよ。
とはいえ、爪の健康を保つには、特定の栄養素だけを摂取しても効果が出にくいのも事実です。
重要なのは主食・主菜・副菜のバランスがよい食事を心がけることです。
その上で、上記の栄養素が不足しないように食品を組み合わせることで、ほかの栄養素との相乗効果も期待できます。
そのためにも、まずは食事の見直しをすることからはじめてみましょう。
手は人目につきやすいので、爪の状態はよくしておきたいですよね。
ネイル用の美容液やオイルなどを使ってケアするのは大切ですが、栄養不足が原因で荒れていては、せっかくのネイルケアも思ったような効果が出ない場合があります。
ぜひ食事にも気をつかってみてください。
Text by はむこ/食育インストラクター