世界的にも交通ネットワークの整った環境と言われる日本は、災害時などの例外を除いて、スーパーやコンビニなどに行けば生野菜をいつでも購入できます。
そんな野菜のなかでも、定番と言える野菜のひとつがキャベツ。
今回は、日本はもちろん世界中で食べられている、キャベツについてのお話です。
【定番野菜のひとつ】
知っている野菜の名前を思いついた順に挙げてみてください。と、聞かれたら、多くの方が早い段階でキャベツの名前を挙げるでしょう。
カタカナで書かれるこの野菜は日本原産の野菜ではありませんが、今やその名を知らない人はいないほど身近な存在です。
生食ならシャキシャキと歯触りがよく、加熱すると自然な甘みが引き立ち、和洋中問わずさまざまな料理に合わせられます。
また、葉がやわらかくてアクも少ないので食べやすく、離乳食や介護食でも使われることが多いため、これだけ普及したのも納得できますね。
【キャベツの成り立ちとは?】
キャベツのルーツは、ヨーロッパに自生するヤセイカンランというアブラナ科の植物です。
ヤセイカンランは英語ではwild cabbage、直訳すると「野生のキャベツ」という意味を持つ種です。これを改良してつくられた野菜のひとつがケール。
さらに、ケールを改良して生まれたのがキャベツなのです。
キャベツは紀元前から食べられていたので、2000年以上の歴史を持つ由緒ある(?)野菜なのです。
ただし、最初のキャベツは結球しておらず、ハボタンのような見た目だったそうです。
結球したキャベツの品種が生まれたのは、だいたい13世紀ころ。
その後15~16世紀に結球品種の開発が進み、今の形のキャベツが出来上がりました。
日本には江戸時代に観賞用としてやってきたのが始まりで、当時は「甘藍(カンラン)」と書いていました。
その後、明治時代からは食用化が進みましたが、キャベツと呼ばれるようになったのは戦後になってからです。
キャベツは寒さや乾燥に強く、日本の多くの土地で栽培可能なため、戦後になると各地で品種改良が盛んになり、さまざまな品種が生まれています。
例えば、よくスーパーなどで目にする葉がやわらかい春キャベツと、葉が詰まってずっしりとした冬キャベツは収穫時期で名前を変えているのではなく、もともとの品種から違うものなのです。
そして、植え付け時期もそれぞれ異なり、冬以外なら何かしら植え付け可能な品種があるので、キャベツはどの季節でも安定して出荷できる野菜として、私たちの食卓を支えてくれています。
【キャベツと消化の話】
キャベツは淡色野菜なので、β‐カロテンの含有量はそれほど多くありません。
しかし、野菜の中でもキャベジン(ビタミンU)の含有量が多く、胃の消化を助ける働きが期待できます。
キャベジンは水溶性で加熱にも弱いので、生食で食べるのが最も効率よく摂取できます。
つまり、揚げ物と一緒にシャキシャキの千切りキャベツが添えられているのは、おいしいからだけではなく、消化を助けるという理にかなった組み合わせなのです。
では、加熱したキャベツは栄養価が無いのか?と考えてしまいがちですが、キャベツに含まれているのは水溶性の栄養素だけではなく、骨の形成を促すビタミンKや、腸内環境を良くする食物繊維などがあります。
これらの栄養素は加熱しても問題なく摂取できます。
また、よく加熱するとやわらかくなり、野菜の中では消化がよいので、体調の優れないときなどに食べやすいのは大きなメリットです。
常備しておいて損はない野菜だと言えます。
いつでも購入でき、生でも食べられる。
まさに野菜のオールラウンダーと言ってもよいほどに活躍するキャベツ。
ぜひこれからもおいしく召し上がって下さいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター