生でも干してもおいしい!「大根」を食べよう

味にクセが無く、生でも加熱してもおいしい「大根」。
1年中出回り、安価なことから冷蔵庫にストックしている方も多いのでは?
今回はこれからおいしい時期をむかえる、「大根」のお話です。

【大根の種類】

八百屋さんやスーパーに出回っている大根は、やわらかく辛みが少ない「青首大根」がほとんどです。
そのため、ほかの種類を見かけることは少ないですが、全国各地、いろいろな種類が栽培されています。
今回はそのなかからいくつかピックアップし、ご紹介します。

■聖護院だいこん
京都府聖護院地区の伝統野菜のひとつで、1~2㎏もある丸くて大きな大根です。
やわらかく、きめ細かいのが特徴です。
煮崩れしにくく、煮物や漬物、サラダなどによく使われます。

■辛味大根
根の部分が15cm程度の小さな大根です。
辛味が強く水分が少ないので、すりおろして薬味として使われます。

■紅芯大根
小型で外の皮が薄緑、中は鮮やかなピンク色の大根です。
甘みが強くてみずみずしいので、サラダによく使われます。

■桜島だいこん
鹿児島県の伝統野菜であり、世界一大きな大根としても認定されています。
通常は10㎏程度ですが、大きいものになると20~30㎏のものもあります。
緻密で煮崩れしにくく、味がしみ込みやすいのが特徴です。
煮物や漬物など、幅広く使われています。

■二十日大根
種をまいてから20日くらいで収穫できることから名前がついた「二十日大根」。
小さな球形で「ラディッシュ」とも呼ばれています。
生食にむいており、サラダや料理の彩りとしてよく使われます。

食の駅やスーパーの特産品コーナーなどで青首大根以外の大根が売られていることがあります。
ぜひ、見かけたら味わってみてください。


【大根の保存方法】

色が白く太くてまっすぐなもの、傷が無くハリとツヤがあるものを選びましょう。
カットされているものは、断面のきめが細かく、スが入っていないものが良品です。
葉つきのものは、購入後すぐに葉を落として別々に保存します。
葉は湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に。
根はピッチリとラップで包み、こちらもビニール袋に入れて野菜室で保存しましょう。
すぐに使い切らない場合には、冷凍庫で保存することも可能です。
いちょう切りや短冊切り、輪切りなど、用途に合わせて大根を切り、なるべく重ならないようラップで包みます。
そのあと冷凍用の保存袋に入れ、冷凍庫へ。
使うときは凍ったまま加熱調理してください。
また、すりおろしても冷凍できます。
冷蔵庫で自然解凍させてから料理に使いましょう。

【大根の嬉しい効能】

根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。
根にはビタミンCや食物繊維、カリウムが、葉には根よりも豊富なビタミンCのほか、β-カロテンが多く含まれています。
これらのビタミンは免疫力を高め、風邪をひきにくい丈夫な体づくりに役立ちます。
そのほかに注目したいのが、根に含まれる消化酵素の「ジアスターゼ」と辛みのもとである「アリルイソチオシアネート」です。
ジアスターゼは、でんぷんの分解を助け、胃もたれや胸やけ、二日酔いの予防に効果が期待できます。
アリルイソチオシアネートは、すりおろすなど細胞壁を壊すと生成される成分で、胃液の分泌を高め、胃の健康を保ちます。
これらは加熱に弱い性質を持ちます。
効果を期待したいのであれば、加熱はせず、切ったりすりおろしたりしたらすぐに食べるのがおすすめです。

【大根のうま味をギュッと凝縮「干し大根」】

生の大根だけではなく、うま味と甘みがたっぷりの干し大根もぜひ、活用したいところです。
一般的な「切り干し大根」のほか、大根を太く裂いてから干した「割り干し大根」大根をゆでてから干した「ゆで干し大根」大根を薄い輪切りにして干した「丸切り大根」などさまざまな種類があります。
いずれも生の大根とは違う独特の風味と歯ごたえが魅力で、煮物、炒め物、漬け物…と、さまざまな料理で楽しむことができます。
また、おいしいだけでなく、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維などの栄養素が多く含まれ、高血圧予防や貧血予防、便秘改善が期待できます。

1年中出回っているので、旬を忘れてしまいがちですが、寒さで甘みを蓄える秋から冬にかけてがよりおいしい季節です。
季節の変わり目となるこの時期に、栄養たっぷりの大根を食べて風邪に負けない体をつくりましょう。

Text by まち/食育インストラクター