夏に食べたい☆宮崎県の冷や汁を作ってみよう

暑い時期に食べたくなる冷や汁。
地域によっては呼び方も具材も異なります。
今回はそんな冷や汁についてのお話です。

【冷や汁の歴史】

冷や汁は宮崎県の平野部を中心とする郷土料理です。
鎌倉時代の「鎌倉管領家記録」に「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷や汁をかけ参らせ候」との記述が残されており、これが冷や汁の起源とされています。
鎌倉時代以降は僧侶によって全国に広まり、各地の食文化、風土、気候などが宮崎に合い、次第に定着していきました。
かつて、農民が夏の重労働を行う際、時間や食欲のないときでも十分な栄養補給や体力回復のために、簡単に食べられる生活の知恵として伝承されてきた料理です。
麦飯に生みそを乗せ、それに水をかけて食べていたことがもとになっているといわれています。

【冷や汁とは?】

冷や汁とは、煮干しや焼いたあじをほぐしてから、みそやゴマを合わせてすり鉢ですり、直火であぶります。
それを出汁で溶いて冷たくし、麦飯の上に豆腐やきゅうりを乗せて食べる、宮崎県の郷土料理
です。
地域によって具材も呼び方もさまざまです。

【他県との違い】

●埼玉県
宮崎県とならび、冷や汁が有名なのは埼玉県です。
埼玉県の冷や汁の特徴はうどんのつけ汁として食べることです。
野菜などの具材をすり鉢ですり、「すりたて」を食べていたことに由来し、「すったて」や「つったて」とも呼ばれています。

●山形県
山形県の冷や汁は宮崎県のものとは異なり、季節の野菜と浸し汁を合わせて仕上げるおひたし料理です。
山形県の中でも、上杉謙信の城下町として知られる、米沢市の郷土料理で、由来は諸説がありますが、上杉謙信公の陣中料理として配下の武将たちに振舞われたという説があります。


【冷や汁】

<材料(2人分)> 調理時間:45分
あじの干物・・1尾
Aみそ・・大さじ1・1/2
A白すりごま・・大さじ1
木綿豆腐・・1/2丁
きゅうり・・1/2本
冷やした出汁・・300g
みょうが・・適量
青しそ・・2~3枚
ごはん・・茶碗2杯分

<作り方>

  1. 豆腐はキッチンペーパーで包み、上から重しを乗せて、水切りをしておく。
  2. あじをグリルなどで軽く焦げ目がつくまで焼き、身をほぐし、ポリ袋に入れてスプーンでつぶす。
  3. きゅうりは薄切りにし、塩(分量外)でもむ。しそ・みょうがは千切りにする。豆腐はひと口大に手でちぎる。
  4. A・(2)を混ぜ合わせフライパンに広げ、焼き目がつくまで弱火で焼く。またはアルミホイルに敷いてオーブントースターで焼く。※油を使わないので焦げないように気をつけましょう。
  5. (4)に出汁を加えてのばし、しぼったきゅうり・豆腐を合わせる。
  6. ごはんに(5)をかけ、しそ・みょうがを盛り付ける。

今回のレシピはご家庭で作れるように少しアレンジしています。
伝統的な冷や汁のレシピだと、みそ・ごま・焼き魚をすり鉢ですり、内側に広げて、直火であぶって作ります。
もしご家庭にすり鉢がある方は、伝統的なレシピでも作ってみて下さいね。

Text by あお/食育インストラクター