日本にはその土地の気候風土をいかして作られる特産品がたくさんあります。
少し前までは見たことが無かった…という食材も、最近ではアンテナショップをはじめ、スーパーなどでも見かけるようになってきました。
今回は東京の特産品とそれを使った簡単レシピをご紹介します。
【東京都の伝統野菜「江戸東京野菜」とは?】
日本各地には古くからその地域で受けつがれてきた野菜があります。
そのなかのひとつ、「江戸東京野菜」とはどのようなものでしょうか。
江戸東京野菜は、「江戸期から始まる東京の野菜文化を継承するとともに、種苗の大半が自給または、近隣の種苗商により確保されていた昭和中期までのいわゆる在来種、または在来の栽培法等に由来する野菜」と定義つけられています。
JA東京中央会により、2011年から認定が開始され、現在では約50品目の江戸東京野菜があります。
【冬におすすめの「江戸東京野菜」】
約50品目ある江戸東京野菜のなかから、今の時期におすすめのものをいくつかご紹介します。
■大根
●練馬大根(11月中旬~2月初旬ごろ)
江戸時代に現在の練馬区周辺で栽培がはじまった大根です。
「尾張大根」と「練馬の地大根」との交配から選抜、改良されたもので、もともとはたくあん漬け用の大根として用いられてきました。
今では品種改良され、いろいろな品種が栽培されています。
代表品種である「練馬尻細大根」はたくあん用の品種で、皮が薄く実がしまっていて水分が少ないもの、「練馬秋づまり大根」は水分が多く、実がやわらかいのが特徴です。
●伝統大蔵大根(11月中旬~12月下旬ごろ)
江戸時代、豊多摩郡(現在の杉並区あたり)の「源内」という農民が作り出した「源内つまり大根」が原種です。
明治初期に世田谷区大蔵の石井泰治郎が、「秋づまり大根」と「代々木の源内大根」の自然交配雑種を改良し、選抜固定したものです。
一時青首大根の普及により姿を消しましたが再び栽培され、2011年から販売も開始しています。
生食はもちろん、水分が少なく、煮崩れしにくいので煮物にも向いています。
●亀戸大根(10月中旬~4月中旬ごろ)
文久年間(1860~1864)のころから昭和初期まで、亀戸香取神社の周辺で栽培されていた大根です。
明治時代には盛んに栽培されており、そのころは「おかめ大根」や「お多福大根」と呼ばれていましたが、大正初期に亀戸大根と呼ばれるようになりました。
実はやわらかく緻密で、この大根を使った「亀戸大根あさり鍋」は亀戸の名物です。
■東京長かぶ(10月中旬~2月初旬ごろ)
大根のような細長い形をしているのが特徴で、江戸時代には主に漬物にして食べられていました。
現在の北区滝野川周辺で栽培されていたことから、「滝野川カブ」とも呼ばれていました。
また、土壌環境が似ている品川でも作られており、そちらは「品川カブ」と名づけられました。
■シントリ菜(10月中旬~3月中旬ごろ)
昭和40年代に江戸川区、葛飾区、足立区で盛んに作られていた野菜です。
当時はまだ生産されていなかったチンゲン菜に代わる野菜として中国料理に使われていました。
葉の部分に細かいちりめん状のしわがあることから「ちりめん白菜」とも呼ばれています。
味にクセがなく、火を通しても食感がよいのが特徴です。
■滝野川ごぼう(11月初旬~2月下旬ごろ)
江戸時代に滝野川村(現在の北区滝野川)で鈴木源吾により改良、採取されたごぼうで、地名を取って「滝野川ごぼう」と名づけられました。
香りがよく、やわらかい食感が特徴で、現在市場に出回るごぼうの多くはこの滝野川ごぼうから派生したものと言われています。
【シントリ菜を使った「豆乳クリーム煮」】
味にくせがなく、どんな料理とも相性の相性のよいシントリ菜を使い、今の時期にぴったりなクリーム煮を作りました。
<材料(2人分)> 調理時間:20分
シントリ菜・・200g
ベーコン(ハーフ)・・4枚
酒・・大さじ1
鶏がらスープの素・・小さじ1
豆乳・・200ml
味噌(信州みそなど)・・小さじ1~2
水溶き片栗粉・・適量
粗挽き黒こしょう・・お好みで
<作り方>
- シントリ菜は食べやすい大きさのざく切りにする。
ベーコンは1cm幅の細切りにする。 - フライパンにベーコンを入れて薄く色づくまで炒める。
- (2)にシントリ菜を入れてサッと炒め、酒を加える。
- 鶏がらスープの素・豆乳を入れ、沸々するくらいの火加減で2~3分煮る。
- 味噌を溶き入れ、仕上げに水溶き片栗粉でとろみをつけ、お好みで黒こしょうをふる。
そのまま食べるのはもちろん、パスタと合わせるのもおすすめです。
日本各地のおいしい食材はまだまだたくさんあります。
この時期ならではの各地の特産品を見かけたら、ぜひ普段の食事にプラスしてみてはいかがでしょうか。
Text by まち/食育インストラクター