皆さんは、食育ピクトグラムをご存じですか?
食育ピクトグラムとは、食育の12の取組を子どもから大人まで誰にでもわかりやすく発信するため、表現を単純化した絵文字のピクトグラムを作成し、多くの人に使用してもらうことを目的としています。
※出典:農林水産省WEBサイト「食育ピクトグラム及び食育マークのご案内」
今回は「5.よくかんで食べよう」についてご紹介します。
パスタやハンバーガーなど食の欧米化やインスタント食品の普及により、やわらかく食べやすい食事が日本人に好まれるようになりました。
1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告書によると、戦前の食事時間は22分、咀嚼回数は約1420回。
それに対し、現代の食事時間は11分、咀嚼回数は約620回と、食事時間・咀嚼回数ともに半減し、速食い傾向にあります。
ちなみに弥生時代では、現代の食べ物に比べると木の実やいのしし肉などかたい食べ物だったため、咀嚼回数は約4000回だったそうです!
【よくかんで食べることが大切な理由】
噛むことのメリットを日本咀嚼学会が「ひみこのはがいーぜ(卑弥呼の歯がいーぜ)」という標語で紹介しています。
「ひ」・・肥満防止
私たちの体は、食事を始めて「満腹」を感じるまでに20分ほどかかります。
あまり噛まずに速食いをすると、「満腹感」を得る前にたくさんの量を食べてしまうため、食べ過ぎてしまいます。
よく噛むことは、速食いを防止して肥満予防につながります。
「み」・・味覚の発達
食べ物本来のおいしさを感じることができ、味覚の発達を促します。
例えば、ごはんをしっかりよく噛んで味わうとお米本来の甘味がしっかり感じることができます。
「こ」・・言葉の発達
噛むことで顎の筋肉が発達し、言葉を正しく発音できるようになり、顔の表情も豊かになります。
「の」・・脳の発達
噛む回数が多いと、その分脳への血流が増え、脳の活性化に役立ちます。
「は」・・歯の病気を予防
よく噛むことで、唾液の分泌量が増えます。
唾液は、口内の汚れを洗い流したり、細菌感染を防ぐ効果もあるため、虫歯や歯周病の予防につながります。
「が」・・がんの予防
唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素には、食品中の発がん性物質を抑制する働きがあります。
「い」・・胃腸の働きを促進
よく噛むと唾液から消化酵素のアミラーゼが分泌され、食べ物の消化・吸収を助け、胃腸の働きを活発にします。
「ぜ」・・全身の体力向上と全力投球
噛みしめることで全身に力が入り、体力や運動神経の向上、集中力を養うことにつながります。
【噛ミング30(カミングサンマル)を目指そう!】
皆さんは、食事のとき、ひと口に何回噛んでますか?
「噛ミング30(カミングサンマル)」とは、ひと口30回以上噛んで食べることを目標としたキャッチフレーズです。
しかし、ひと口30回以上噛むことは意外と大変です。
自然と噛む回数が増える歯ごたえのある食品を選んだり、食材を大きめに切ったりするなど工夫をするとよいでしょう。
【8020(ハチマルニイマル)運動!】
すべての国民が健やかで豊かな生活を過ごすため、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目的とした運動です。
近年、歯周病が全身の健康と深い関わりがあることが分かっています。
食べ物を「よく噛むこと」、「よく噛めること」は、身体の健康づくりにとって、とても重要なことです。
食事をいつまで楽しめるように、しっかりよく噛むことを意識して、健康な生活を送りましょう。
Text by くまこ/食育インストラクター