独特なフォルムがかわいい「洋なし」は、芳醇な香りと濃厚な甘味が魅力です。
その濃厚でなめらかな舌ざわりから「バターペア」とも呼ばれています。
これからおいしい季節をむかえる洋なしの種類や嬉しい効能などをご紹介します。
【洋なしの栽培は難しい!?】
洋なしはヨーロッパ・地中海が原産地と言われています。
代表的な「ラ フランス」や「ル レクチェ」をはじめ、現在、日本でもさまざまな品種が栽培されています。
洋なしが日本に入ってきたのは明治時代初期のころ、フランスやアメリカからさまざまな品種が伝わりました。
しかし、花から実になるまでに時間がかかることや、天候や虫の影響を受けやすく、見た目が悪かったり、栽培が難しいということからその当時は広まることはありませんでした。
その後、昭和後半になって広く知られるようになり、現在では、日本で最初に栽培を開始した山形県をはじめ、新潟県・青森県・長野県などで多く作られています。
【洋なしの種類とその特徴】
早いと8月後半から店頭で見かけるようになる洋なしですが、品種によって出回る時期が異なり、秋から冬まで楽しむことが出来ます。
今回は、手に入りやすい代表的な品種、4種をご紹介します。
●ラ フランス
その名の通りフランスが原産で、日本で最も多く栽培されている洋なしです。
ゴツゴツとしていてずんぐりとした形が特徴で、果皮は黄緑色です。
果肉はとろけるようなやわらかさとやさしい酸味、そして上品な甘みがあります。
ラ フランスは熟してもそれほど見た目の色が変わらない品種で、10月下旬から多く出回ります。
●ル レクチェ
ル レクチェもフランスが原産の洋なしです。
ラ フランスよりも少し果実は大きく、果皮は熟すときれいな黄色になります。
果肉はなめらかでとてもみずみずしく、芳醇な香りと濃厚な甘みを持つことから、「西洋なしの貴婦人」とも呼ばれています。
フランスからはじめて導入した新潟県が主な産地で、11月中旬から多く出回る品種です。
●バートレット
世界的に多く生産されているイギリス原産の洋なしです。
甘味と酸味のバランスがとれた味わいで、熟す前は実がかたく崩れにくいので、缶詰用にも利用されています。
収穫時期はほかの洋なしと比べてとても早く、8月初旬から収穫がはじまり、9月上旬から中旬においしい時期をむかえます。
●オーロラ
オーロラは2つの洋なしを掛け合わせ、1960年代にアメリカで誕生しました。
果皮は熟すと黄色くなり、なめらかな果肉と強い甘味、豊かな香りが特徴です。
日本には1980年代に導入された、洋なしの中では比較的新しい品種です。
旬が短く、9月中に最もおいしい時期をむかえます。
【おいしい洋なしを見分けるポイント】
洋なしを食べたら、「かたかった…。」という経験はありませんか?
それはまだ洋なしが熟していない証拠。
購入してすぐに食べたい場合には、食べごろを見極める必要があります。
そのポイントは品種によっても異なりますが、基本的に皮が緑色から黄色になったもの、軸の回りをそっと触り、やわらかさを感じたものが食べごろです。
また、熟すとどんどん香りも強くなってくるので、買うときに覚えておくとよいですよ。
購入するときは、皮に傷がなく、ツヤのあるもの、手で持ったときにずっしりと重みを感じられるものを選びましょう。
また、購入した洋なしがかたい場合には、追熟が必要です。
紙袋に入れたり、新聞紙に包むなどをして15~20℃くらいの場所で保存し、熟したら冷蔵庫で2~3時間冷やしてから食べましょう。
完熟した洋なしは日持ちしないので、早めに食べきるようにしてください。
【洋なしの嬉しい効果】
洋なしの80%以上は水分ですが、「リグニン」や「ペントザン」などの不溶性食物繊維を多く含んでいます。
そのため、整腸作用を促し、大腸がん予防や美肌効果が期待できます。
洋なしと和なしの栄養成分はほとんど変わりませんが、食物繊維量は洋なしの方が2倍近く多く含まれているのが嬉しいところ。
そのほか、のどの炎症を鎮める効果がある「ソルビトール」や疲労回復効果のある「アスパラギン酸」、消化を助ける「プロテアーゼ」なども含んでいます。
そのまま食べるのはもちろん、コンポートにしたり、サラダにプラスするのもよいですね。
私のおすすめは、トースト。
食パンにクリームリーズを塗って、スライスした洋なしを並べ、グラニュー糖を振ってトースターでこんがり焼いて完成です!
今の季節にしか味わえない、旬の洋なしをおいしくいただきしょう☆
Text byまち/食育インストラクター