魚は骨があるからと、苦手意識を持っている方でも食べやすいのが、カジキです。
切り身のならほとんど骨がありませんし、調理の幅が広く、いろいろなアレンジができます。
味にクセもないので、こうばしくソテーし、好きなソースをかけるだけでもおいしく、忙しいときにも役立つお魚です。
そんなカジキですが、店頭でよく表示をみると、メカジキ・マカジキ・カジキマグロなど、いろいろな表示があります。
一体、どの表記が正しいのでしょう?
今回はカジキの名前の謎に迫ります!
【マグロのようでマグロじゃない!?】
実はカジキマグロという魚は存在しません。
私たちが一般的にカジキと呼んでいる魚は、カジキ亜科に属しています。
それに対して、マグロはサバ科マグロ族です。
それではなぜ、カジキがカジキマグロと呼ばれているのかというと、どちらも大型魚で、見た目や切り身の状態が似ているからのようです。
親戚よりはそっくりさん、の方が近いですね。
メカジキとマカジキはどちらもカジキ亜科に属しています。
カジキ亜科にはほかの魚もいるのですが、日本のスーパーなどで流通しているのはメカジキが多いため、カジキマグロと表示されていて、値段が一般的な価格であればメカジキだと思ってよいでしょう。
ちなみに、マカジキは高級魚で、新鮮な身はオレンジに近い鮮やかなピンク色をしています。
脂のノリが良いものはお刺身に利用され、マグロともまた違ったおいしさです。
その価格のため、なかなか一般には出回りませんが、もし見かけたらぜひ食べ比べてみてくださいませ☆
【身がパサついてる!? カジキをもっとおいしく食べるには?】
カジキ(以下の説明はメカジキのことを指します)は秋から冬にかけてが旬で、そのころになると脂の乗った「生カジキ」が店頭に並びます。
逆に、それ以外の季節では解凍品の流通が主です。
解凍品があることで、カジキはいつでも手に入る魚として愛されるようになりました。
しかし、解凍カジキは調理すると身がパサつくという大きな問題も抱えています。
これは冷凍処理をした魚や肉にはつきものの問題ですが、冷凍時に細胞が壊れ、そこから水分が出てしまうのです。
解凍カジキと旬の生カジキのソテーを食べ比べてみると、肉質のジューシーさがまるで違っています。
そして、身がパサつくと「食感が嫌い、おいしくない」と言われてしまうことも…?
そんな解凍カジキも、ポイントを覚えればパサつきを抑えてふっくらした身にできますよ!
●表面に小麦粉をつける
先ほど書いたとおり、パサつきの主な原因は水分がなくなっているからです。
そのため、加熱時に水分が逃げないように、小麦粉で薄く膜を張るとよいですね。
ソテーする場合は小麦粉がちょうどよい焼き色になるので、こうばしく、やわらかく焼きあがりますよ☆
ちなみに、でんぷん質の粉であれば同じ効果が得られるので、片栗粉でも大丈夫です。
●加熱温度に気をつける
お魚全般に言えることですが、魚は肉よりも低い温度で火が通ります。
カジキは火の通りが遅い方の魚ですが、それでも、必要以上の加熱はパサつきのもとです。
もちろん、生焼けでは食中毒の危険があるので、加熱時間を減らすのではなく、はじめに高温で表面をしっかり熱してから、余熱で火を通すのがよいでしょう。
ソテーであれば、表面に焼き色をつけてから蒸し焼きにするとよく、揚げ物なら二度揚げにして、余熱の時間を設けるのがおすすめです。
これらのポイントを意識して調理するだけで、冷凍カジキでもふっくらやわらかく仕上がります。
手に入りやすく、食べやすいカジキは、お魚の入門編といえる存在です。
ぜひ、いろいろな調理に活用して、おいしく召し上がってくださいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター