ナッツは、おつまみやおやつ、そして小腹がすいたときに手軽に食べられるのはもちろん、料理やお菓子など幅広く活用されています。
おいしいだけでなく、体に嬉しいこともいっぱいなナッツ。
今回は、その中のいくつかをご紹介します。
【世界最古のナッツ「クルミ」】
紀元前7000年ころから食用とされていたと言われるクルミは、「最古のナッツ」とも呼ばれています。
日本でも、縄文時代から山に自生していた「オニグルミ」や「ヒメグルミ」などが食べられていました。
平安時代の医学書には、滋養強壮や肌・髪によい、便秘にきくなどとその効能が記されています。
原産地は古代ペルシャ(現在のイラン)で、地中海に渡り、ヨーロッパに伝えられ、ペルシャグルミの名がつきました。
今流通しているクルミのほとんどがこのペルシャグルミで、日本へは、豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに、兵士が持ち返って来たと言われています。
クルミの生産は、アメリカ・カリフォルニア州と、中国で多く生産されおり、日本への輸入もその2国で占めています。
クルミの成分の約70%は脂質で、特に健康によいとされるオメガ3脂肪酸の含有量がナッツのなかでひときわ高いのが特徴です。
クルミに含まれるオメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸で、コレステロール値や中性脂肪値を下げるなと、生活習慣病の予防に効果があるとされています。
このほかに、良質な睡眠に必要なメラトニンの生成を助けるトリプトファンや、ビタミン、ミネラル、食物繊維がほどよく含まれています。
そのまま食べるのはもちろん、砕いてサラダや和え物にするのもおすすめです。
【ビタミンE豊富な「アーモンド」】
「旧約聖書」に健康によい食品として登場するほど、はるか昔から人々に愛されてきた「アーモンド」。
紀元前4000年ころのメソポタミアで食べられており、日本へは江戸時代に南蛮船でポルトガル人が持ち込んだのが始まりと言われています。
アーモンドの形が偏平なことから和名では、「扁桃」と呼び、形が似ていることから「扁桃腺」の語源にもなっています。
生産量の約70%をアメリカのカリフォルニア州が占め、日本へも輸入されています。
アーモンドの成分で特に注目したいのが、ビタミンEです。
ビタミンEは、強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防や若返り効果が期待できます。
さらに、毛細血管をひろげ、血流を促す働きもあります。
このほかに、ビタミンB2やカルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維が含まれています。
近年話題になっているのが、「第3のミルク」とも呼ばれるアーモンドミルクです。
手軽に購入出来ますが、アーモンドを水に一晩つけ、翌日水と一緒にミキサーにかけて濾すだけで簡単に自家製アーモンドミルクが作れます。
濾したときに残った絞りかすには食物繊維などが多いので和え物などに使うと、あますことなくアーモンドの栄養を摂ることが出来ます。
【ナッツの女王「ピスタチオ」】
元々は古代トルコ、ペルシャなどの地中海沿岸地方に自生していたピスタチオ。
ほかのナッツには無い味わいと、鮮やかな緑色をしていることから、旧約聖書に登場するシバの女王も好み、国内すべてのピスタチオを独占したとも言われています。
日本には19世紀に伝わり、その後栽培も試みましたが、気候や風土が合わず、定着しませんでした。
現在、イランが生産量第1位、次いでアメリカ、トルコの順に生産されています。
ピスタチオには、カリウム、鉄、銅などのミネラルや、ビタミンB1、ビタミンB6などのビタミン、食物繊維、さらにオレイン酸やリノール酸、植物だけに含まれるルテインやゼアキサンチン、β-カロテンも豊富です。
ほかのナッツに比べて小さめながら、その栄養価の高さから、ナッツの女王とも呼ばれています。
【実はナッツではない!?「ピーナッツ」】
南米が原産地のピーナッツ。
世界中に広まったのは、コロンブスの新大陸発見によるものと言われ、その後、日本には江戸時代初期に伝わりました。
名前にナッツとついていますが、実はマメ科の豆で、木ではなく地中になることから正式にはナッツではないようです。
しかし、栄養価はナッツ類と同様に高く、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを予防するオレイン酸やリノール酸が豊富です。
そのほか、抗酸化作用のあるビタミンEや二日酔い予防に効果のあるナイアシン(ビタミンB3)も含まれます。
お酒のおともによく食べられているのは、理由があったのですね。
食べるときに渋皮(薄皮)をむいて食べる人も多いかと思いますが、その渋皮は美肌効果や老化防止、がん予防などに働きます。
渋いのでついむいてしまいがちですが、栄養効果を期待したいのであれば、ぜひ渋皮ごと食べるようにしましょう。
今回は、4つのナッツについてご紹介しましたが、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツなど、紹介しきれないほどさまざまな種類があるナッツ。
おいしいからと言って食べ過ぎは禁物です。
脂質が多く、カロリーが高いので、数粒を毎日摂るようにしましょう。
Text by まち/食育インストラクター