まだまだ暑さは続いていますが、日が短くなっているこれからの季節は、少しずつ秋の味覚が顔を出し始めます。
そんな秋の味覚の中に数えられているのが、すべすべした皮目で紫色のちょっと不思議な果実…今回のテーマ「あけび」です。
【珍しい果物なの?】
あまりスーパーなどで見かけないことから、松茸などの高級食材のようなイメージを抱かれることもあるようです。
実際、旬のあけびを使用した一品が料亭などでふるまわれることは少なくありません。
しかし、実はあけびは日本で広く自生しているので、秋ごろに手近な山に入れば普通に果実が生っているぐらいの身近な食材です。
そんなふうに、どこにでもある植物だったため栽培されるようになったのは近年になってからで(わざわざ買って食べるようなものではないと考えられていたのですね)、現在でも生産量はそこまで多くありません。
流通が少なく、スーパーなどであまり見かけないのはそういう理由があるのですね。
そんな事情もあって、現在は購入すると思った以上に値段が張る果物なのがあけびです。
とはいえ、もともとは日本で自生している植物。
日本の気候に慣れていて耐暑性も耐寒性もあるので、自宅で栽培するのはそう難しいことではありません。
ツル植物なのでうまく育てればグリーンカーテンにすることも可能なので、園芸をされている方は栽培に挑戦してみるのも面白いかも!?
【どうやって食べよう??】
あけびは皮も種も実も食べられます。
果実として食べられるのは実の半透明の部分で、熟すとほんのりと甘い上品な味わいです。
種は実の中に入っていますが、食べられるとはいってもかたいのであまりおいしいものではありません。
見た目はあまりよくないかもしれませんが、実と一緒に食べて種だけ吐き出すのが一番楽な食べ方です。
種がいっぱいあるというとスイカと似ていますが、あけびはスイカと違って種が密集しているので、食べる前に取り除くのはあまり現実的ではありません。
品種改良で種なしあけびを作るのも現時点では困難らしく、ちょっと食べにくい果物であることは否定できないところです…。
ですが、栄養の観点で見ると、ビタミンCが豊富なので夏に紫外線を浴びたお肌のケアに役立ちますし、果物の中でも比較的食物繊維が多く、便秘の予防や改善に働いたり…と女性に嬉しい効果がたくさんあります。
また、皮の紫色は抗酸化作用のあるアントシアニンによるもので、老化の防止効果が期待できます。
ほろ苦でアクのある部分ですが、これは見逃せないポイントのひとつ!
あけびは果物として食べる部分より皮の方が量が多いですが、上手に活用して余すことなく栄養を摂りたいところです。
下ゆでしてアクを抜いてから、少し濃いめに味つけた炒め物や、天ぷらにしてもおいしいですよ☆
ちなみに、あけびの食べごろは実が割れているかどうかで判別できます。
まだ割れていなければ冷暗所で数日保存して、追熟させてみましょう。
実が割れていなければ数日は保存できますが、割れたら完熟の証拠。
あとはどんどん悪くなっていくので、できるだけ早めに食べるのが基本です。
販売しているあけびは完熟の少し手前の状態で収穫していることが多いので、食べたいと思ったその日に買って食べるのにはあまり向いていない果物なのですね(もちろん、熟れた採れたてを食べられる環境なら別ですが…)。
選ぶときは、皮がつややかで紫色が鮮やかなものを選ぶようにするとよいですよ☆
あけびのほんのりと甘い果肉は秋の訪れを告げる証。
四季の移り変わりを愛する日本人の生活に古くからなじんだ果物です。
ぜひぜひ、召し上がってみて下さいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター