新生姜と聞くと、すでに甘酢に漬け込まれたパックの市販品をイメージすることも少なくありませんが、漬け込む前の新生姜はまさに今、旬を迎えています。
今回はそんな新生姜にまつわるお話です。
【普通の生姜と違う品種なの?】
結論から申し上げますと、普通の根生姜と新生姜は同じ品種です。
収穫した新生姜を保存して寝かせておいたものが根生姜(ひね生姜)なのですが、保存している間に色素成分や水分が減ってしまいます。
水分が少ないと繊維がかたくなるので、根生姜はかたい筋のような食感が強くなります。
また、しょうがの中に含まれている辛味成分も凝縮されるので、辛味が強くなってしまいます。
これらの要素が合わさって、新生姜とは別の品種のように感じてしまうのですね。
ジンゲロール(加熱すると一部ショウガオールに変化します)といった血行促進効果のある成分が含まれているのはどちらの生姜も一緒なので、冷えが気になる方には嬉しい食品です。
「夏は暑いから血行促進なんか必要ないんじゃない?」と思われるかもしれませんが、冷たい食べ物や飲み物、そしてエアコンを効かせた室内と屋外の行き来などで、体は思った以上に冷えによるダメージを受けています。
そのため、生姜は体内のケアに役立つのですね。
とはいえ、辛み成分は刺激が強いので、食べ過ぎないようにしましょう。
【着色してるの?】
ピンク色のガリはとっても鮮やかな色合いなので「色づけのために着色料を入れてるんじゃ…?」と思っていませんか?
それが理由でピンクのガリを買い控えているのだとしたら、ちょっともったいない(!)かもしれません。
なぜなら、着色料を添加しなくても、新生姜を使えばあの桜色のガリを作れるからです!
(※ただし、購入する商品によっては着色してある場合もあるので、原材料欄はチェックしてください)
新生姜の最大の特徴ともいえる、ピンク色に色づいた部分。
このピンク色の正体はアントシアニン色素。
目の健康維持に効果的で、ブルーベリーや黒豆の代表的な栄養素です。
アントシアニンはpH値によって色が変化するので、新生姜を甘酢に漬けると酢の中に溶け出て赤色が強くなり、自然と淡いピンク色に着色されるのですね。
【甘酢漬けばっかりじゃ飽きちゃう!?】
新生姜といえば甘酢漬け。と考えてしまいがちですが、普通の生姜と同じ品種である新生姜は、もちろんお料理に使うこともできます。
本来、根生姜は皮ごと使って問題ありません(むしろ、辛み成分などは皮のあたりが最も多いです)が、皮が変色してしまって見栄えが悪いからとむいて使われることも多いですよね。
でも、新生姜なら大丈夫!
水洗いで汚れを落とせば皮ごと使えるので、すりおろしても千切りにしても、無駄なく使い切ることができるのがメリット。
辛味も少なくやわらかいので、千切りにしてかき揚げに加えたり、スライスしてもろみ味噌などお好みの調味料と一緒に食べたりと、加熱調理でも生食でもおいしく食べられます。
甘酢漬けに飽きてしまったときは、お料理に活用するのがおススメです。
なお、寝かせておくと長持ちすると書きましたが、新生姜を長期保存するために適した環境を維持するのは一般家庭では難しいので、新生姜を購入したときは早めに使い切るのが一番です☆
どうしてもあまってしまった場合はキッチンペーパーに包んで、ビニール袋に入れれば一週間程度保存できます。
新生姜と根生姜は同じ品種ですが、初物はやっぱり特別な存在です。
新生姜の爽やかな風味は、一年の内でも今だけ味わえる存在。
ぜひご堪能くださいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター