味がよいから…旬の鯵を堪能しよう!

このタイトル、決してダジャレではありません。
実は魚の鯵の名前は「味がよいからアジ」が語源だと言われています。
どの季節でも一定の漁獲量がある大衆魚ですが、旬の時期は別格に美味しいもの。
今回のテーマはそんな鯵についてです。

【なくてはならない魚です】

鯵の歴史はさかのぼれば縄文時代には食べられていたと言われているほど、古くから日本人の食に関わってきた魚です。
日持ちのする干物に加工されることが多く、海から離れた朝廷へも献上されていたそうです。
一般庶民の食卓に上るのは江戸時代に入ってからですが、それから数百年あまり、日本人の食卓を支え続けてくれた存在なのですね。

【干物をキレイに食べたい!】

鯵の代名詞といえば、干物。
保存性が高まるだけではなく、干している間にギュッとうま味が凝縮されておいしくなります。
海にほど近い旅館などではよく提供されているので、朝食の楽しみのひとつだったりするのですが…。
「人前で魚を食べるのは緊張する。食べ方が汚いって思われたらどうしよう…」
干物に限らず、焼き魚は食べ慣れていないといざと言う時に慌ててしまいますよね。
でも、大丈夫!
干物をキレイに食べられるポイントを覚えておけば、いざという時でも安心です☆

☆その一、手前から食べる!
一般的に鯵の干物は開きの状態で提供されるため、器に盛りつけると半身ずつ上下に分かれていると思います。
手前の頭と身の境目に箸を入れて切り離し、手前の身から食べましょう。

☆そのニ、身はひっくり返さない!
干物に限らず、焼き魚はひっくり返して食べちゃいけない、と聞いたことはありませんか?
理由は諸説ありますが、現実的な説を挙げると、魚を裏返す時に骨や皮、魚の脂が飛び散って器が汚れやすくなり、キレイに食べ終えるのが難しくなるためです。

☆その三、ひと口は小さめに!
大きめに分けた方が身は飛び散らないのですが、ひと口が大きいと骨に気づかず食べてしまうこともしばしば。
鯵の骨は太いものもあるので、そのまま飲み込むのはちょっと危ないのですが、一度口に入れたものを出すのは傍目にも美しくないので、できれば避けたいですよね。
鯵の骨の位置がよくわからない場合は、一口を小さめに食べた方がよいでしょう
(※ほぐし過ぎは食べにくくなるのでご注意を!)
ある程度食べ慣れると、「なんとなくこのあたりかな?」と骨の位置がわかってくるので、身から骨を取り除けるようになります。
その段階にある方は身を大きめにして食べた方が、食べ終わりがキレイですよ☆


【味だけではない鯵の力】

青魚である鯵は体によい脂であるDHA・IPA(EPA)が含まれているので、いわゆる血液サラサラ効果が高い食材です。
ほかの青魚に比べてエネルギーが低めなのもよいポイントですね。
それ以外にも、肝臓の機能を助けるタウリンや、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが含まれています。
特にタウリンはさんまや鯖よりも豊富なので、血圧やコレステロール値を安定させたり、糖尿病の予防にも役立ちます。

鯵の旬は初夏から夏にかけてと言われていますが、回遊魚でさまざまな場所を泳ぎ回っているため、獲れた場所によって時期がずれることもあります。
また、一年を通して獲れるので、秋ごろの方が脂がのっておいしい!という意見もあります。
初夏の鯵は小ぶりで身が引き締まっているのがおいしさの秘訣!ですが、ほかの時期の鯵も食べ比べて、自分の好きな時期を探してみるのも面白いですよ☆

Text by はむこ/食育インストラクター