近年、体を気遣う女性を中心に「雑穀」が注目されています。
雑穀ごはんとして食べられているのはもちろんのこと、サラダやスープ、さらにはスイーツと幅広く使われています。
健康に良いことはご存知だと思いますが、どんな雑穀があり、そしてどの様な効果が期待できるのでしょうか。
【そもそも雑穀とは何?】
雑穀とは、一般的に「米」と「小麦」以外の穀物の総称のことで、「玄米」「あわ」「ひえ」「きび」「ごま」「そば」「大豆」、などが挙げられます。
他にも様々な雑穀が国内外で栽培されており、その数は数えきれない程と言われています。
日本における雑穀の歴史は古く、紀元前3000年よりも前から栽培され、日本古来の書物「古事記」には、「稲」「あわ」「小豆」「麦」「大豆」が五穀として記されています。
江戸中期頃に、玄米に変わって白米を食べる習慣が広まりましたが、多くの人は少量の白米に雑穀を混ぜていたものを食べていました。
その後、戦後まもなくは多くの日本人の主食は雑穀でしたが、高度経済成長と共に主食が白米へと変わっていきました。
この様に、長い歴史の中で主食が白米なのはここ数十年と短く、私たち日本人の食生活を支えてきた穀物は「雑穀」だったのです。
ここで、スーパーなどでもよく見かける代表的な雑穀をいくつかご紹介します。
【日本最古の穀物「あわ」】
縄文時代から栽培されていた日本最古と言われる雑穀で、風味が「淡い」ことから「あわ」とつけられたと言われています。
白米に比べてビタミンB1が多く、食物繊維や鉄分、マグネシウムも含んでいるため、腸内環境を整える効果や貧血予防などに効果が期待できます。
甘味があり、もっちりとした食感で、くせがないのでごはんに入れるだけではなく、クリームコロッケにしたり、スープに入れたり、デザートに使ったりと様々な料理に活用できます。
【桃太郎に出てくるきびだんごでおなじみの「きび」】
生長すると黄色い実がなることから「黄実(きみ)」が語源で、そこから「きび」と呼ばれるようになりました。
現在では、黄色のほかに白色や褐色の物も売られています。
あわよりも少し粒が大きく、コクや甘味があり、冷めてもモチモチなのが特徴です。
体内では生成されない必須アミノ酸であるメチオニンが含まれ、肝臓の老廃物や毒素を体の外に排出して代謝を高めてくれます。
また、黄色い色素はポリフェノールで抗酸化作用にも優れています。
【驚異の穀物!?「アマランサス」】
アマランサスは過酷な栽培環境でも育つことと、栄養面に優れていることから、「驚異の穀物(スーパーグレイン)」と呼ばれています。
種皮がやわらかく、全粒で食べられるので栄養価が高く、特にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含んでいます。
その他に注目したいのがビタミンEの一種である「トコトリエノール」です。
トコトリエノールは特定の食べ物にしか含まれていない成分で、強い抗酸化力をもち、美肌やシミ・シワの改善に期待が出来ます。
プチプチとした食感が特徴のアマランサスは、ナゲットやポテトサラダに入れても美味しくいただけます。
【NASAが理想的な宇宙食の1つとして評価「キヌア」】
古代インカ帝国では、トウモロコシと並ぶほど神聖で貴重な食物であったため、「穀物の母」と呼ばれていた「キヌア」。
キヌアはたんぱく質、ミネラル、食物繊維など、栄養バランスに優れた食材で、便秘改善や貧血予防、生活習慣病予防などに役立ちます。
また、食事で摂り入れなければならない9種類のアミノ酸(必須アミノ酸)の全てを含み、NASAが理想的な宇宙食として評価しています。
プチプチとした食感を楽しむキヌアは、白米や玄米と一緒に炊いたり、スープやサラダ、パスタやハンバーグなどによく使われます。
【もちもちした食感が人気!最近話題の「もち麦」】
もち米のように粘性が高く、もちもちとした食感が特徴の「もち麦」。
外皮を完全に取り除いてしまう押し麦に対して、もち麦は外皮を一部残して加工されるので、雑穀の中でも食物繊維含有率が高いのが特徴です。
もち麦に含まれる水溶性食物繊維「大麦β-グルカン」は、腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えるだけでなく、糖質の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を抑えてくれます。
また、もち麦には、次の食事でも血糖値の上昇を抑える「セカンドミール効果」があるので、朝や昼に食べるのがおすすめです。
今回ご紹介した雑穀以外にも、たくさんの雑穀が売られています。
ごはんといっしょに炊くのはもちろん、茹でて普段の料理にプラスし、食感や風味を楽しんでみてはいかがですか?
毎回茹でるのは面倒な方は、冷凍保存も出来るので、まとめて茹でておくのがおすすめですよ!!
Text by まち/食育インストラクター