私たち日本人の食卓に欠かせない「しょうゆ」。
今では世界中で愛されている調味料と言えるでしょう。
今回は身近にありつつも意外と知らない?しょうゆのルーツや種類、効果についてのお話です。
【しょうゆのルーツは中国の「醤(ジャン)」?】
しょうゆがいつ誕生したのかは諸説あり、はっきりしたことは分かっていませんが、古代中国の「醬(ジャン)」が日本に伝わり、「醤(ひしお)」となったという説が広く知られています。
「醤」はもともと食材を塩漬けにして保存したもので、肉や魚を発酵させた「肉醤(ししびしお)」、野菜を発酵させた「草醤(くさびしお)」、穀物や豆類を発酵させた「穀醤(こくびしお)」などがあり、しょうゆは「穀醤」が進化したものだと考えられています。
その後、鎌倉時代の禅僧が中国から持ち帰った径山寺(きんざんじ)味噌を近所の人に教えているうちに、その味噌の上澄み液がとても美味しいことに気付き、そこから現在の「たまりしょうゆ」に近いものが作られたと言われています。
江戸時代になるとしょうゆの生産が本格化し、「濃口しょうゆ」や「淡口しょうゆ」なども生産されて行き、今では世界100か国以上で使われるほどになっています。
【しょうゆの美味しさは5つの「基本味」】
しょうゆが持つ、ふくよかな香りと奥深い味わいは、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの基本味が全て揃い、そしてこのバランスによってしょうゆの独特の美味しさが生まれます。
甘味はしょうゆ全体の味をやわらかくまるみを持たせ、酸味は塩味をやわらげ味を引きしめます。
塩味のもととなる塩は海水の5~6倍もの濃度があり、この高い食塩濃度が殺菌効果をもたらします。
苦味は直接苦さを与えることはなく、その味にコクを加える隠し味の役割を果たします。
そして原料の大豆、小麦が麹菌によって分解され、約20種類のアミノ酸が作られ、これがしょうゆのうま味の素となっています。
また、しょうゆの香りは麹菌、酵母、乳酸菌などの微生物によって生まれます。
その香り成分は現在発見されているだけで300種類以上もあるそうです!
【しょうゆの種類】
しょうゆの種類は、日本農林規格(JAS)によって、「濃口しょうゆ」「「淡口しょうゆ」「たまりしょうゆ」「再仕込みしょうゆ」「白しょうゆ」の5つに分類されます。
■濃口しょうゆ
江戸時代に関東地方で生まれた鮮やかな色が特徴のしょうゆです。
日本で製造されているしょうゆの約8割がこの濃口しょうゆで、最も一般的なしょうゆで、調理から卓上での味付け用まで幅広く使えます。
■淡口しょうゆ
兵庫県で生産が始まった関西生まれのしょうゆです。
濃口しょうゆと原材料や製法はほとんど一緒ですが、色を薄く仕上げるため、塩分を多くして作られています。
色が淡く、香りも控えめなので、素材の色や香りを活かしたい料理によく用いられます。
■たまりしょうゆ
愛知県を中心に、三重県、岐阜県などの東海地方で製造され、よく使われているしょうゆです。
濃口や淡口が大豆と小麦を原料とするのに対し、主原料は大豆で、小麦を使うとしてもほんのわずかです。
独特な香りととろみ、濃厚なうま味が特徴で、照り焼き、佃煮などに最適です。
また、刺身や寿司を食べる際にも用いられています。
■再仕込みしょうゆ
山口県を中心として生まれたしょうゆ。
仕込む際に食塩の代わりに「生しょうゆ(火入れ前のしょうゆ)」を使っているため、この名前がつきました。
色、味、香りともに濃厚なので、「甘露しょうゆ」とも呼ばれています。
主に卓上用の調味料として、刺身や冷奴などに使われています。
■白しょうゆ
愛知県碧南(へきなん)市で誕生したしょうゆで、淡口よりもさらに淡い琥珀色のしょうゆです。
同じ愛知県で作られるたまりしょうゆとは反対に主原料は小麦粉で大豆はほとんど使われていません。
味は淡白ですが、塩味と甘味は強く、特有の香りを持っています。
吸い物や茶わん蒸しなどによく使われ、最近ではこの白しょうゆに出汁やみりん、塩などを加えた「白だし」が売られています。
スーパーなどでも様々な地域で作られたしょうゆがたくさん並んでいます。
定番の濃口しょうゆだけでなく、料理によってしょうゆを使い分け、普段の食事をより楽しみましょう!!
Text by まち/食育インストラクター