昔から日本にも食べられる花があった?!

昔から日本にも食べられる花があった?!

食べられる花、エディブルフラワーを使ったスイーツや料理をみかけることも多くなりましたね。
そんな見た目にも美しいエディブルフラワーですが、日本にも昔から食べられていた花がありました。

【食用菊は伝統的なエディブルフラワー】

「食用菊」は奈良時代に中国から日本にもたらされました。
不老長寿に効果があるとして、菊酒や菊花茶として飲まれ、また観賞用として上流階級で用いられていました。
大衆に普及するには江戸時代からのことです。
この頃から関西を中心に酢の物やおひたしなど花びらを食べる習慣が広がり、現在では東北・北陸地方の特産品となっています。
また、料理の飾りに使う小菊は愛知県が主産地です。

【食用菊の種類】

食用菊は観賞用の菊と同じキク科の仲間で、苦みや渋味を抑えつつ、食べる花の部分が大きくなるように品種改良されたものです。
食用菊といえば、刺身のツマなどに添えられる黄色い小菊のイメージかもしれませんが、それ以外にも多種多様な品種が全国各地で栽培されています。
なかでも、味・香り・食感ともに優れた品種として知られるのが、山形・新潟県で栽培される大輪種「延命楽(えんめいらく)」です。
新潟県では「カキノモト」「オモイノホカ」と呼ばれています。
紫色の花を大輪に咲かせる延命楽は、毎年10~11月頃に出荷のピークを迎えます。
菊のほのかな香り、繊細な甘さとほろ苦さは、まさに秋ならではの味わいです。
花びらが筒状になっているため、茹でても形がくずれず、シャクシャクした心地よい歯ごたえが楽しめるのも魅力です。
山形県では「もってのほか」「もって菊」と呼ばれていますが、これには「菊の御紋(天皇家の御紋)を食べるのはもってのほか」「思いのほか美味しい」といったことに由来しているといわれています。


【選び方と調理のコツ】

花の色が鮮やかで花びらの先まで張りがあるもの、花びらが丸まり、締まっているものを選びます。
茹でておひたしや和え物にするとおいしくいただけます。
茹でるときの湯に酢を加えることで、色鮮やかに仕上がります。
また、茹であがったら、すぐに冷水にとって色止めをしましょう。
生のまま花びらを彩りとして添えたり、サラダに加えるのもおすすめです。

【美しいだけではない菊花の効用】

解毒作用、抗酸化作用、脂肪の蓄積を抑える働きもあり、ビタミン類も豊富で美容と健康に効果が期待できる食材のひとつでもあるようです。

今が旬の季節、彩り美しい秋の味覚として、家庭料理にも取り入れてみてはいかがでしょうか。
花びらをサラダやお刺身、お吸い物などに散らして一緒に味わえば、ほのかな菊の香りと華やかさが加わって、見た目も美味しさもワンランクアップ間違いなしです。

Text by ナナちゃん/食育インストラクター